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『夜の淀』

京阪淀駅を降りた17日の真夜中22時30分。 駅前のスーパーも商店街もシャッターが下がり、1日の活動を終えておやすみモードとなっていた。 先週から押し寄せた急激な寒波か、おでこには凍てつくような風がガンガンぶつかってくる。ただ、カクテルとサングリアでほろ酔い状態の身体はほん...

『三者三様』

カズオ・イシグロの「日の名残り」はお気に入りの一冊。1989年に刊行されたこの小説は多くの読者に親しまれており、1人1人が違った印象や感想を抱いている。 身近でも2人の知り合いが『日の名残り』を読んでいた。昼間に1人、夜に1人……1日にそれぞれから同じ本の感想を聞いたミラク...

『パイ生地求めて三千里』

……とは少々大袈裟であるが、方方探し回って、ようやく冷凍パイシートを小学校アトリエ近くの百貨店売り場にて発見した。 ここ最近、無性にパイ生地をたらふく食べたくなる心理現象に見舞われ、パイの餓鬼道に迷いこんだか?!と不安定な気持ちだった。...

『小さな欠片』

最近感激したことは何ですか?? ・「お会計1,000円になります。」 適当に選んで買い込んだ食材の合計金額が、税込で1,000円ぴったりだったこと。 ・『Merry Christmas!!』 と書かれた広告に、夏のバカンススタイルのサンタクロースとトナカイのイラストが描かれ...

『大きなおいも』

「これ、しばらく祀っとこや〜。」 先月から共用キッチンの片隅に、どんっと佇んでいるさつまいも。ハイデンバン作家さんの一人がせっせと畑で育てたものなのだが、想像以上にすくすくと生長したらしく、縁起物(?)として採れたてほやほやの状態でアトリエにやってきたのだ。...

『うつろい散歩』

風邪から回復し、久しぶりに桂川沿いの土手を散歩した。 11月下旬にして、夏日にせまるほどのぽかぽか気候。ちょっと違うのは日差しが低くて真っ直ぐ目線に日光が入ってくるところだろうか。 先週のハイデンバン極寒ぶりは何だったのかしら?おかげで京都暮らし3年目にして、新たな病院の診...

『黄色禁止令』

ただいま部屋の一角で、アクリル絵具をふんだんに活用し作品を制作している。油彩以外の描画材で、がっつりタブロー作品を並行して描いたのは初めてかもしれない。 そんな中、とある一つの色を多く使っている。 きいろ。 あか、しろ、きいろ、と童謡でも唄われるほど馴染みのある色だが、受験...

『たこ焼きありがとう〜大手筋商店街にて〜』

伏見桃山の大手筋商店街を通りかかった時、無性にたこ焼きが食べたくなった。およそ1年半ぶりに買ったたこ焼きは、京都だしの効いた生地。ネギをトッピングし、定番のマヨネーズやソースは無しにした。商店街出入り口前のベンチに腰掛け、手を合わせる。 「いただきます。」...

『仕事人』

樟葉モールへショッピングに出かけた。バイクで京都府外へと飛び出したのは、この時が初めて。ちなみに樟葉モールも初めて。 それはさておき、こうした大型ショッピングモール内へ入る前段階で、必ず待ち受ける試練がある。 「……駐車場の入り口どこ??」...

『遭遇』

世の中にはそっくりさんが3人いる——。 と言う噂は真実かしら?? 当たらずと言えども遠からず。 電車の中で友人らしき後ろ姿を見かけて、声をかけようと車内を移動した。すると、その人もすら〜っと車内を移動して隣の車両に行ってしまった。 ??ハイデンバンには行かないのかな?...

『作る手』

初めてライブハウスに足を運んで、ライブ音楽の生演奏を目の当たりにした。弦楽器を爪弾く器用な指先は、どの演奏者も個性的で、軽やかに、時には大胆な動きで楽器と舞台空間を振動させ、様々な音色を紡ぎ出していた。 手は口ほどにモノを言う……。今回見た3組の演奏家さんはアコースティック...

『コーヒーの日』

10月1日はコーヒーの日だった。 京田辺市にある行きつけの珈琲豆屋さんでも、この日に因んでお買い得セールを始めていた。 「おおきに!こんにちは。」 扉をくぐると、真っ先に珈琲豆のほろ苦く温かい香りが鼻腔をくすぐる。香りの発生源は店内に所狭しと並べられている生豆ではなく、出入...

『再会』

あの子だ! 秋分の日が過ぎてだんだん早くなってくる夕刻、灰色の曇り空が広がっていたある日、懐かしいあの子らしき影法師を見かけた。 境谷小学校のアトリエと大学院のアトリエは徒歩圏内で、アトリエメンバーは私以外、現役学生だったり大学に勤務していたりする。(先日のエッセイの後さら...

『プロフェッショナルの視点』

「……これは、以前の持ち主が少々やんちゃな人だったようですね。」 中古バイクが再び故障してエンジンがかからなくなり、これを機に新車バイクを新たに購入することにした。ついでに整備士さんに中古バイクの状態を見てもらったのだが、開口一番に言われたのが上記の一言だった。...

『アトリエアップデート』

境谷小学校のアトリエメンバーとして新たに2人が加わった。全員で4人。所狭しと作品や画材が溢れかえる空間を久しぶりに眺めた。 2つのアトリエを拠点に構えて、もうすぐ半年が経つ。めまぐるしく環境が変わって、ついていくのが精一杯だった。そんな中で馴染みのある顔ぶれが集まることにな...

『蛍雪の功』

ハイデンバンが停電した。 8月終わりのこと。過剰な電力使用によりアトリエのヒューズが飛んでしまったようで、クーラーや洗濯機はもちろん部屋の蛍光灯すら点かない状況に。 「業者の人に来てもらわなあかんな……。それまで辛抱やね。」 「いつ来てもらえますか?」 「火曜日。」...

『理不尽』

まるで花びらをはらうかのようだった。 信号待ちの時、一つ前で停車していた車の左サイドウィンドガラスから優雅に現れた腕。手入れの行き届いた長くしなやかな指先が弧を描いた。その環から外れるように不格好な物体がポロポロとこぼれ、焼けつくアスファルトに堕とされた。...

『健康体でいること』

「ごめんなさい。せっかく来ていただいたのですが、ヘモグロビンが基準値に達していないので今回もお断りしますね。」 私はどうやら貧血傾向があるようで、献血前の検査結果が思わしくないせいで3回に1回の確率で献血参加を断られている。...

『お寝坊できる』

毎朝、目覚まし時計は7時にセットしている。とはいうものの、なかなかきっちりと起きられることは少ない。 6日の朝。目が覚めたのは9時近い時刻だった。……アラームセットし忘れてた?止めた記憶が全くなかった。 9日の朝。暑さでアラーム前に目が覚めた。朝食後、机に向かってドローイン...

『郷土料理』

名古屋飯ということで、台湾まぜそばの特集がテレビで放送されていた。(何故に台湾…?というツッコミは無しで) 名古屋は、実家が隣町のため20年以上身近にあった都市なのだが、台湾まぜそばなるものを食べた記憶が、無い。番組内で愛知出身のタレントさんが「愛知県民が絶対一度は食べる料...

エッセイ: Blog2
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