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執筆者の写真ユウキ サクタ

『我慢できずにパフェ食す』

四条烏丸〜河原町通りは、京都に移住してから最も利用する通りの一つ。ギャラリーや美術館へのルートを検索するときも、この通りを基準に大体の方角を把握して、元気が有り余っているときは徒歩20〜30分の距離ならテクテクと歩いている。

そんな京都市内散策の出発線に、Lindtというチョコレート専門店がある。1845年に創業されたスイス発祥のチョコレート屋さんだ。

此処でのLindtは「リンツ・ショコラ・カフェ 京都四条通り店」と言い、カフェ・スペースにてリンツオリジナルのチョコレートドリンクが味わえる。

そして忘れてはいけないのが、ショコラパフェ。

老舗のチョコレートブランドが作るパフェ……。絶対に美味しい。


ただし、値段が980円(税込)とお高い。

一昨年から販売していたものの、看板を物欲しげに見つめるだけでなかなか注文する決心がつかなかった。カフェ・スペースも洗練されたインテリアや、チョコレートを意識した優しくも凛とした配色(?)で、敷居も高く感じていた。


そんなこんなを経た先日、えいっと実に2年越しにお店のドアをくぐって、カフェタイムを過ごした。そのひとときは以下の様子。

「いらっしゃいませ〜。ショコラパフェおひとつですね。席までお持ちします、しばらくお待ちください。」

持参していた文庫本『舞姫』(※作者が川端康成のほう)をペラペラ捲りながらパフェを待つ。京都に構えるお店で、東京が舞台の本を読みながら、スイス出身のショコラパフェを注文する。

どのくらい待っていたのか、私の腹時計はあてになりません。

注文対応をしてくれた店員さんが、甘くて綺麗なブラウントロフィをそっと丸テーブルに置いた。

「おまたせしました。ショコラパフェになります。」

スプーンを抜き取る前に冷静に写真撮影した自分を褒めたい。久しぶりにパフェフォルダが潤った。

「いただきます。」

トッピングはガラスに屈折入射した光のような形状のミルクとビター2種の薄チョコ、煮詰めた砂糖で固めたアーモンドスライス、Lindtロゴが入ったチョコレート。特にアーモンドはとろりと溶けたチョコソフトクリームと絡まって絶妙な甘さとほろ苦さだ。

これや〜!

叫びが思いがけず関西弁と化す。トロフィを崩しながら至福の時を過ごす。

チョコソフトの下は白色層、アイスでもソフトクリームでもない。ふわふわできめ細かい気泡の舌触りとミルク風味で濃厚だがくどくないのが印象的。ここはメレンゲだろうか。

続いての層は隠れ層。上から見下ろす視点では気づかなかったガナッシュ。生クリームとチョコが源材料のふにゃふにゃで頼りない質感と、アクセント強めなカカオ味が、チョコパンチを効かせている。先程のメレンゲ層と最下層のショコラを繋ぐ橋渡し役も。

礎は再びチョコソフト。此処にも嬉しいツボを押してくれる演出があった。

時間をかけてたどり着いた最下層は、チョコドリンク一歩手前ほどのとろけ具合。溢さないように一際丁寧にスプーンで掘り下げ、最後の層を味わう。

じゃりじゃり、ざくざく、しゃりしゃり、さくさく……。

ビター風味のチョコソフトの中に、ココナッツの香を纏ったクッキー生地が割り入れられていた。

じゃりじゃり、ざくざく、しゃりしゃり、さくさく……最後はぽろぽろ、ほろほろとした食感に変わっていった。

(パフェの礎には市販のコーンフレークが使われることが多い。塩気の効いたコーンフレークも合うけど、ビスケットや厚みのあるクッキーだと個人的にテンションが上がるのです。)


ひとくちひとくち、頬張るごとに‘予定外の出費’という罪悪感が薄れていった。

チョコ好き&パフェ好きなら、狂喜乱舞する大きさと見栄えと美味しさだ。


——食べて良かった。ごちそうさま。


にまにましながら一人パフェタイムを満喫した。




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