制作の息抜きにいつもの桂川沿いを散歩していると、向こう岸の駐車場の上空に小さな小さな白い小鳥が弧を描いていた。よーく目を凝らしてみると、足元は何やら糸で地面から引かれているようで、決まった航路を旋回するようコントロールされているようだった。
遠目とはいえ、お正月らしい外遊びの光景を今年初めて見つけた。
凧揚げの記憶は小学校低学年の頃まで遡る。
図画工作の授業時間に手作りした凧を校庭で揚げた。3階の教室からも色とりどりの凧が間近で見える程高く高く揚っていた。底冷えする寒さと快晴の眩しさで、鼻とほっぺたが文字通り真っ赤になっていたのを覚えている。
この記憶には続きがある。
学校終わりに通っていた学童保育での出来事。児童館の隣にあった公園で同じように凧を揚げた。
こじんまりした児童公園は、周囲に住宅街が密集していて電線が各家庭を繋げるために上空に張り巡らされていた。屋外でありながら、凧をあげられるスペースが少なかった。それでも風向きを察知し、電線に気を使って凧揚げを友達と楽しんだが、子どもの操作では上手くいくはずもなく……。電線に引っかかったり凧同士が空中で絡まったりして、脆い手作り凧はあっけなく分解してしまった。
さらに追い討ちをかける事が続く。後日、公園の近隣住民から苦情が児童館に届いたそうだ。子どもの騒がしい声が迷惑だと……。
以来、外遊びは控えられるようになった事を覚えている。
年末年始は仕事の慌ただしさで自宅周りの風景を眺める余裕がなかったが、記憶にあるお正月遊びの光景を見かけなかった。3が日も終え、七草粥や鏡開きの日も過ぎ去り、日常生活へリズムが戻っていくタイミングで、名残り惜しむかのように凧が遠くへ上がっていくのを、桂川を隔てた土手から見守った。
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