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執筆者の写真ユウキ サクタ

『言葉の森』

バイクに乗るときに心掛けていることがある。


1年の締め括りとなる大晦日。今までは三重県の祖母宅にてお餅をついたり、鏡餅を作ったり、年越しそばを食べながら年末の特番をゆったり見て過ごすことが多かった。

が、今日は仕事のシフトが割り当てられ、まさかの職場ホームにて年越しをする事になった。


「この仕事してるとねえ、あんまり長期休みの感覚とか無いのよね。」

ベテラン職員さんは苦笑いしていたが、世間の休暇と関係なく勤めている人がいることで経済がちゃんと機能していることを改めて実感する。

とは言うものの、やはり「めんどくさい……。」本音は拭いきれないものである。その気持ちは運転にも出て注意力散漫になったり、信号待ちや右左折する大きな車の後ろについたときにはイライラが蓄積されてしまう。


そんな時は一呼吸おいて呟く。


「良い1日を。」


ヘルメット内でこだまする言葉はあまり外に響かない。誰にも届かない一言だが、言い終わると同時にす〜っと砂が水を吸い込むように気持ちが透明で穏やかなものに変わるのだ。

言霊があるとして、なんて強力なものだろうか。言の葉ひとつで心模様が如何様にも変化する。

言葉を生み出した人間は多くの言語を作り出した。世界には6000以上もの言語が紡がれているという。地球は言葉の森に溢れている。ただ…、悲しいかな。葉っぱではなく、冷たく鋭い刃物となる‘ことば’が存在するのも事実で……。


この文章を綴りながら、刻一刻と迫ってくる出勤時間を意識している。今年の反省、来年の抱負、やらなければいけないことがたくさんある。

何度呟くだろうか?今日は特別だからほんの少しアレンジする。


良いお年を!




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