「今日は少し暖かいね。」
とある朝のハイデンバンキッチンにて、作家さんと世間話をしていたときに出てきた一言。
ちなみにこの時の温度計は3℃を示していた。
全国的に寒波が押し寄せた年明け、水道の水だけでなくラックに保管してあった珈琲豆が凍ってしまう現象に出くわした。「天然冷凍庫……。」ボソッとひとり言が漏れたが、歯がガタガタ震え笑い事に変換できない状態だった。この期間キッチンに長時間居られず、部屋の石油ストーブでひたすら煮込み料理を作って乗り切った。(ハイデンバンキッチンはミーティングや勉強会などが開催できるよう広々とした共有スペースとなっている。年季の入った扉や重厚な窓は換気のため常に開かれ、木製の床からは階下からの冷気がじわじわと伝わってくる。極め付きはエアコン、ストーブといった暖房器具は無い。コンロもガスではなくIH。火の気が全くないのが特徴である。)
最低気温は氷点下4℃を記録していた。流石、生粋の道産子が「京都は寒すぎる!!」と叫んだだけある。真冬の京都を甘く見てはいけない。今冬の極寒でようやく自分が冷え症である事を自覚し、石油ストーブをはじめ、湯たんぽ、カイロ、発熱性タイツ、もこもこ靴下などの暖かグッズを買い揃えた。
あれから大気の移動があり、ほんの少し日差しがぽかぽかと感じられた1日だった。
氷点下4℃からおよそ7℃も高い気温、3℃がぽかぽかする気候に感じるとは……。
キッチンでついたため息は、白い蒸気となって溶けていった。
またとある朝、日差しのなかで降り頻る雪景色が表れた。天気雨ならぬ天気雪を背景に、ふと温度計に目を向けると3℃を示していた。
「寒い!!」
思わず叫んでしまった。通常の体感温度へ逆戻り。ぽかぽか3℃の効きめはあっけなく終了した。
1月20日から二十四節気の中で最も寒い「大寒」の時期に入った。またぽかぽか3℃の感覚を味わう日がやってくる予感。今年は124年ぶりに2月2日が節分だという。節分が終われば「立春」。新たな二十四節気が始まる。
早く春よこい。
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