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執筆者の写真ユウキ サクタ

『うつろい散歩』

風邪から回復し、久しぶりに桂川沿いの土手を散歩した。

11月下旬にして、夏日にせまるほどのぽかぽか気候。ちょっと違うのは日差しが低くて真っ直ぐ目線に日光が入ってくるところだろうか。

先週のハイデンバン極寒ぶりは何だったのかしら?おかげで京都暮らし3年目にして、新たな病院の診察券を発行するという経験をしたぞ。


原っぱだらけの獣道をてくてく登って土手に出る。眼前には桂川。そして川に寄り添うようにススキが広がっていた。

——秋が溢れている。


十五夜のお月見の日も特に何かするわけでなく、そのまま普段通りの生活リズムを刻んでいた。その間に近所の風景は、深々な秋模様に衣替えをしていたようだ。

この土手は車が入ってこない。住宅地を挟んだすぐ向こう側は、府道が通っていてかなりの交通量なのだが、一歩足を踏み入れた此処は別世界のように静かな音色が流れている。誰かがジョギングする足音、サイクリングする音、擬音語でも表現しづらい鳥の鳴き声(トンビだろうか?)が、耳にゆったりと入り込んでくるのだ。


春はウグイスの鳴き声がした。

夏は痛いほどの日差しと大きな蜂が飛んでいた。

そして秋はススキを見つけた。

人の背丈ほどにも生長したススキの群生。花瓶に生けられお団子とともに飾られる……そんなアカデミックなイメージを覆すほどの生命力に満ち満ちている。

秋の七草の一つであるススキは、花穂や小穂がふわふわな綿毛のようで、‘秋のたんぽぽ’と、個人的に位置付けていた。(本当はイネ科の多年草だそうだ。)


来週からまた気温が大幅に低下する。きっとこの景色も、あっという間に見られなくなる。盆地という地形は、夏の酷暑と冬の極寒が凄まじい。そんな気候でありながら、古くから‘みやこ’として栄えてきたことに驚きを隠せない。


立冬を過ぎ、暦の上では既に冬を迎えている。

さて、次はどんな景色になるだろう。





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