‘アンデルセンのメルヘン大賞’の童話公募に駆け込み応募した。ほぼ一夜漬けという学生時代と変わらぬやり方で仕上げた作品を、一般公募で人様に送付する行為を新年早々やってのけた。(客観的に見ても褒められたやり方ではない。2021年一つめの反省点が早速できた。)
この公募はアンデルセングループという広島市を拠点とする会社が企画していて、今回で38回目だそうだ。
当日消印有効だったおかげで、締め切り日の夕方まで物語を推敲することができた。
8000字で綴るストーリーはあっという間に読了する。繰り返し繰り返し文章を読み直し、お話の流れを確認していく。メルヘンやファンタジーは絵空事のように見られることも多いが、今回初めて自分なりの物語を書いてみて、世界中に数多存在する物語は(長編、短編、伝承、エンタメ問わず)決して出鱈目を語っているのではない事を実感した。
文字で固定された世界の中できちんと秩序があり、真実がある。作中の登場人物や風景は、私達のいる場所や時間とは違った世界で私達と同じように‘生きている’。この中に飛び込むのは物理的に不可能だが、‘生’を感じることはできる。
作品送付後、こうして童話創作時の心境をいつもの文体で綴っている。振り返りながら、無意識にエッセイと物語で文章の書き方を変えていたかもしれない、と感じている。
エッセイは今現在の身近な真実であり、物語は違う世界の真実だからだろうか。
面白いのは物語世界を生み出しているのは、この現実に生きる(または生きていた)作家であり、その世界の秩序を作ったり守ったり破壊するのも作家一人だけだということ。まるで万能になった印象を受けるが、同時に物語で生きている人物たちの生命を預かっている、という意識や使命感も芽生えてくる。
『作家』は責任重大な立場なのだ。
アンデルセンは、日本でも「人魚姫」・「マッチ売りの少女」・「みにくいアヒルの子」など多くの童話作品で知られるデンマークの作家。文章だけでなく切り絵や挿絵も手掛けている。
ちなみに誕生日が4月2日。
まさかの私と1日違い、親近感が湧いた。
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