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『ステイトメント』
ステイトメント。 美術作家を名乗るにあたり、決して逃れられない言葉だ。 statement をカタカナ表記したものであり、発言、声明、メッセージ、演説など様々な意味を持つ。 此処では作品を生み出すにあたってのコンセプトやテーマ、と言ったところだろうか。 受験絵画地獄が終わって、いざ美大生を名乗るようになった頃の戸惑いは今でも覚えている。それまで各大学ごとの傾向から対策を練って、定められた正解に向けてスパルタ式に何も考えず描いていれば良かったスタイルから、いきなり「自由に何をやっても良い」みたいな放任主義の空気感に放り込まれて、文字通り迷走する事態になった。 何をアートで表現したいんだろう?何を描きたかったんだっけ? 一応大学であるからには、卒業に必須な単位が実技にも設定されていて、デッサンやクロッキー、教授からの演習課題等、授業らしい時間もあったが、それ以上に悶々と作品制作について禅問答自問自答することが多かった。悩んでいる時にできた作品は、描きからテーマまで一貫性も何にもなく、完成後に振り返っても「この時何を描きたかったんだろう?」と作者本人で

ユウキ サクタ
21 時間前読了時間: 2分


『おみくじ』
毎年恒例となっている初詣の醍醐味は、新年の先行きを占うおみくじ。参拝を済ませた後、お守りやお札が売られている社務所にて料金を支払い、重たい筒状の容れ物をよ~く振って菜箸みたいな細長い棒を一本取り出す。先端に記された番号の紙を受け取って、わくわくわくと結果を読み込み一喜一憂する。 私の今年の運勢は「吉」。これまで大吉や大凶も引き当てたこともあるせいか、さてどんな反応をしたら良いのか一瞬迷った。ランキングで言えば可もなく不可もない立ち位置だろうか。 「衰えず、乱れず、心は春といきましょう」 今更おみくじや占いで告げられたことを、心の底から信じている人などいないかもしれない。(身も蓋もない。)それでも神社に行けばおみくじ、朝のテレビ番組終盤に流れる星座占い、六十干支による特性など……。科学知識や常識が入り込まないある種の偶然的な引き当てに、多くの人々は惹きつけられているはずだ。(かく言う私もその1人である。) 一緒におみくじを引いた家族は、私を含めて4人。そのうちなんと2人も凶を引き当てた。 「嘘やろ…。」 無神論者の最先端のような人でも、この「凶」の

ユウキ サクタ
1月10日読了時間: 2分


『ご縁ケーキ』
すっかり国民的一大イベントとなったイエス・キリストの生誕祭。宗教イベントのいいとこ取り。特にクリスチャンでなくても毎年ケーキやお菓子を食べたり、何か欲しいものを買ったり、とことん自分を甘やかす日の一つである。 先日、ちょっと嬉しい出会いがありました。 かつて行きつけだったケーキ屋さん(昨年閉店してしまった。)と同じ通り沿いに、バスクチーズケーキ屋sammoがオープンした。実はsammoさん、以前から今のお店と交差点を挟んだ斜め向かいのまぐろ丼のお店で、テナントをシェアして営業していたらしい。そう言われてみると、出入り口に立てかけられていた看板はなんとなく見覚えのあるデザインだった。 新店舗はガラス張りで、中の様子が外からでも分かるようになっている。カフェスペースに小さなテーブルが4つほどあり、ロングベンチが窓際に設置されていた。公園のベンチで寛ぐかのように、若いカップルがカフェデートを楽しんでいた。お皿へ横に寝かせて盛り付けられ、生クリームをトッピングされたバスクチーズケーキと、そのチーズケーキよりも大きめカットなチョコブラウニー、そしてブレンド

ユウキ サクタ
2025年12月28日読了時間: 2分


『プール熱』
とうとうかかりました感染症。 息子が40℃越えの発熱をして、最早常連となっている小児科に駆け込んだ。師走も真っ只中のこの時期だ。毎年流行しているインフルエンザが保育園でも猛威を奮っているとの連絡が届いてて、やっぱり逃げきれなかったか……と覚悟を決めて診察と感染症検査を受けた。 自分自身と違い、小さな子の看病は神経をすり減らす。食事は何をあげたら良いだろうか、入浴は大丈夫だろうか、飲み物はちゃんと飲めるだろうか…等々。自分への感染予防も気をつけなければ。共倒れになったら目も当てられない。制作のスケジュールを組み直さないとな、しばらく自宅療養なら他のドローイングを進められないかな……と、様々な要項を脳内でずらりと並べて吟味していた。 「インフルではありませんね。咽頭結膜熱です。」 インフルエンザ検査で陰性と判明し安堵したのも束の間、ゴツくて聞き慣れない病名に目が点になった。 「アデノウイルスっていうウイルスに感染して起こる病気です。高熱、喉の痛み、結膜炎、下痢が主な症状ですね。別名のプール熱の方が有名かな?」 いやなんでやねん。なんでプールも入ってな

ユウキ サクタ
2025年12月18日読了時間: 2分


『昔ばなしチャンネル』
先日YouTubeにて『まんが日本昔ばなし』の公式チャンネルを見つけた。 今年開設されたほやほやのチャンネル。でも投稿されている動画は懐かしい絵柄と声色で表現されたお話ばかり。主に小学校時代に大変お世話になった番組だが、独特な語りとお話の切り口が癖になって、高校~大学時代も図書館から借りて夢中になって鑑賞していた。いつのまにか年の離れた弟や妹の方が先に卒業していたと思う。 シリーズ自体は1975年に放送を開始してそれなりの歴史がある。放送局が変わったり、一旦終了してもう一度再開したり……そのあたりの概要はWikipediaに詳細に記されている。(毎度思うが、こうした細かな情報を一体どうやって入手して記事にしているのだろう。)私がリアルタイムで見ていたものは再放送のものだった。 このアニメで一番特徴的なのは、ナレーション含むキャラクターの声を俳優の市原悦子さんと常田富士男さんの2人のみでこなしていたことだろう。かぐや姫、山姥、一寸法師、狸や雉を市原さんが、お爺さん、若武者、鬼、猿やタニシを常田さんが演じていて、お話の内容によっては演者が入れ替わった

ユウキ サクタ
2025年12月15日読了時間: 2分
『風邪記録』
先月半ばから家族総出で体調不良となりました。 無事に個展の作品搬入までこぎつけてほっとひと息ついたタイミング。まず息子が保育園から38.3℃の熱で呼び出しがかかり、数日間鼻水と咳と熱をまき散らしながら、謎のハイテンションで部屋中を歩き回っていた。子どもというのは多少の高熱ではへこたれないのだろうか。いつものようにお気に入りのおもちゃや絵本を引っ張り出して、本来の用途とはかけ離れた独自の遊びを満喫していた。「良薬は口に苦し」を諭しても右から左へスルー。全力で逃げまくる。毎朝・夕の薬時間は、元気な時に一緒に遊ぶよりも体力を消耗した。 次は健康優良児のお手本のような相方が、息子から風邪をうつされ鼻水と咳と頭痛に悩まされていた。季節の変わり目は誰もが体調を崩しやすいが、子どもの体内で鍛えられパワーアップした風邪はいろいろと厄介だ。咳で喉を痛め声が発せられない症状も出て、普段の意思疎通のための会話もままならなかった。それでも熱がなかったのは不幸中の幸い。ジョークで渋い声色を持つ友人の物真似を披露するくらい、心の余裕はあったらしい。 2人から少し遅れて、私に

ユウキ サクタ
2025年12月4日読了時間: 2分


『連想旅散歩』
いつのまにか金木犀が見頃をむかえる時期になった。家の近所や駅からアトリエへ向かう僅かな道のりにほんのり甘く澄んだ香りが漂っていて、その香りの源泉には、カールされた葉っぱで着飾った小さな橙色の花の集合体が佇んでいる。 こじんまりとした一軒家の庭先や公園の片隅など、意識して観察してみると至る所で金木犀の木が植生されていた。意外にも金木犀は日本国内で自然分布していない。中国原産の常緑小高木樹で、江戸時代に渡来し挿し木法で全国に広まったとされる。つまり身近にいる金木犀は人々の意思によって其処に根を張り、花を咲かせているわけだ。 種は実らないのか? ちょっと調べてみると金木犀は雌雄異株植物であるが、江戸時代当時、日本へは花付きの綺麗な雄株のみが輸入されたため、現代に至るまで国内には雌株が存在していないそうだ。「挿し木」という人工無性繁殖法は、いわば本体のクローンを増産しているようなものなのだろうか。ただし、一般的に定義されているクローンと一線を画す現象がある。 若返り現象。 不老不死を夢見る人類が飛びつきそうな現象だ。 例えば、樹齢数百年経過している木の枝

ユウキ サクタ
2025年11月10日読了時間: 2分


『完成と未完成』
「作品の完成はどうやって決めているのか?」 展覧会へ足を運んでくださったお客さんから、こうした類の質問を受けることが多い。 これまでそれなりの作品数を仕上げてきてなんとなく掴んだ感覚はあるが、それが万事正しいのか未だ自分でも自信がない。でもせっかくなので書き留めておこうと思う。 描き始める時、まっさらな灰色のキャンバス面がやけに綺麗に見えて、筆を走らせるのに躊躇いを感じるが、一色置いたらそこからは勢いとリズムと感覚の嵐。飄々と変わりゆく画面上を絵具と筆致と地の色のやりとりを経て、『キャンバス』から絵画作品へと昇華させていく。 そしてある一点の時、画面から危険信号が出るのだ。 「これ以上描くと崩れるぞ。」という切羽詰まった声。実際に声が発せられてるわけでも、幻聴が響いているわけでもない。ただそう言った比喩で表すのに相応しい感覚が完成間際の作品から感じられる。それが察知できたらスパッと筆を下ろし、新たな作品へと切り替える。ここ数年の制作スタイルの流れだ。 ……ただし、この感覚も当てにならないもので毎回“声”が聞こえるわけではなくて、だいたい2~3作品

ユウキ サクタ
2025年10月30日読了時間: 3分


「思い出ひととき」
先週土曜日にFM滋賀でオンエアされていたOLDIES GOODIESの番組に、なんとGARNET CROWメンバーの作詞家兼ピアニストさんがゲスト出演していました! ハンドドリップで珈琲を淹れ(フードペアリングのお菓子も忘れない)、久しく開いていなかったradikoアプリを開き、高性能Bluetoothスピーカーを借りて正座待機。開始時刻から2~3分遅れで、真昼のラジオに相応しいリズミカルで軽やかな雰囲気の音楽が流れてきて、番組がスタートした。 こちらの番組、フォークシンガーと音楽プロデューサーの2人組がパーソナリティとして主に1950年代~70年代の洋楽を中心に紹介しているそうだ。またプロデューサーさんとご縁のあるミュージシャンが出演することもあり、今回はその流れで引っ張ってきたとのこと。(ラジオの中でもオファーではなく引っ張ってきた、と言っていた。) このバンドが解散してから早12年。いつのまにか干支をぐるりと一周していた。 もはや音楽やライブ映像でしか、彼らの声を辿ることができなくて(日々の暮らしに忙殺されてのんびりライブを振り返る余裕もな

ユウキ サクタ
2025年10月16日読了時間: 3分


『万博散歩』
駆け込みで大阪関西万博へ行ってきました。 最寄りの夢洲駅に到着したのは午前8時。 朝9時に開場するゲートの前では既に長蛇の列ができていて、椅子や敷物を持参して長時間待機に耐えてる人、おにぎりやパンで手早く朝食を取ってる子(一体何時から並んでいたのだろう)、関西万博公式キャラ...

ユウキ サクタ
2025年10月10日読了時間: 4分


『アイデア瞑想』
定期的にやってくる、木工作業欲。 展覧会に向けて新しい作品を(半ば強制的に)作らねばならない時、強烈に木工作業をやりたくなる。と言っても本格的なDIYというわけではなく、キャンバスの支持体作り限定であるが。 電動ノコギリで木材を切断したり、インパクトでビスをひたすら打ち込ん...

ユウキ サクタ
2025年10月7日読了時間: 2分


『非日常プレート』
普段と異なるプレートは味覚にも影響を与える。定番なメニューの集まりでも、盛り付けるお皿が変わるだけで新鮮な視覚情報が入り、より細かな味付けを感じ取ることができるからだろう。 「今夜は飛行機の機内食を再現してみた!」 エストニアの旅から帰国して数日後、相方の創作レシピに新しい...

ユウキ サクタ
2025年9月25日読了時間: 2分


『言語の音〜エストニア編〜』
最近我が家でエストニア語が流行している。 相方が音楽活動を通じて知り合ったエストニア在住の友人の楽曲や、お勧めされたミュージシャンの音楽が毎日リビングに流れている。もちろん全てエストニア語である。 いつのまにか本棚に新たな本も追加されていた。目につく高さの段に収納されている...

ユウキ サクタ
2025年9月18日読了時間: 2分


『謎の果実』
シェアアトリエの駐車場入ってすぐ右手側に、細長い花壇から窮屈そうに庭木が数本生えている。幹は細めでありながら背丈が2階のベランダと並ぶほど生長していて、巡る季節に合わせて新緑や紅葉が鬱蒼と繁り、出入りする車にも時折覆い被さってくる。アトリエ大掃除の時も山盛りになるほど枯葉や...

ユウキ サクタ
2025年9月11日読了時間: 3分


『チ。−地球の運動について−』 レビュー
最近「チ。-地球の運動について-」を読破した。中世の宗教が絶対的だった世界で、地動説を巡り命懸けの選択をする人々。当時異端とされた「地動説」を主軸に、天文学、数学、技術、宗教など何かに魅了され、真剣に、時には盲信的に取り組んで生きる姿が鮮明に描かれてて、月並みの感想だが面白...

ユウキ サクタ
2025年8月17日読了時間: 2分


『珈琲時間 2025夏』
ポットにお湯を沸かして、珈琲ミルに豆をセットし、ゴリゴリゴリと挽いていく。珈琲豆の砕ける音とじんわり広がる香りを脳内に行き渡らせ、「今日何をしよう?」とぽやぽやと1日のスケジュールを考えながら淹れたての熱い珈琲をいただく。猛暑だろうが酷暑だろうが自宅で淹れる珈琲はいつもホッ...

ユウキ サクタ
2025年8月8日読了時間: 2分


『アナログ書き』
デジタルで文字を打つことが当たり前になって、紙に字を書く習慣が薄れてきてる。 久しぶりにアナログで文字を書いた時、指先と掌にぎこちない違和感があった。1週間ぶりにデッサン用鉛筆を握ったような、自分の神経が通っていない感覚。それでも特に気を留めることなく、目の前のやるべき作業...

ユウキ サクタ
2025年7月14日読了時間: 2分


アーカイブ
8月の個展が差し迫ってきた。常にちびっこがくっついているためアトリエ滞在時間が昔より激減している。そして心は毎度お馴染み切羽詰まった状態だ。いい加減、計画性を持って制作していきたいものだが、締め切りが近づかないとエンジンがかからない性分は筋金入りの三つ子の魂だろう。...

ユウキ サクタ
2025年6月27日読了時間: 2分


『揺らぐ時間』
二条城で開催中のアンゼルム・キーファー展へ行ってきた。圧倒的な規模とそれに負けない物質量の作品群が、二条城の台所・御清所内に展示されていた。 キーファーと言えば名古屋市美術館にも作品が所蔵されていて、常設展の空間の定位置に、壁面から飛び出すほど厚みのある巨大な作品が毎回目に...

ユウキ サクタ
2025年6月17日読了時間: 3分


「本の記憶」
自宅の本棚を整理した。特に本を処分したわけではなく、右から左へパズルのように移動させただけなのだが……。時折こうして本を並べ直す作業に浸りながら、何を読んだか読んでいないか確認している。古本屋で購入したもの、立ち読みした勢いで衝動買いしたもの、どうしても書店で見つからず通販...

ユウキ サクタ
2025年6月2日読了時間: 2分
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