京阪淀駅を降りた17日の真夜中22時30分。
駅前のスーパーも商店街もシャッターが下がり、1日の活動を終えておやすみモードとなっていた。
先週から押し寄せた急激な寒波か、おでこには凍てつくような風がガンガンぶつかってくる。ただ、カクテルとサングリアでほろ酔い状態の身体はほんの少しぽかぽかと発熱している。
この時期特有の白い息は、マスクで遮られて綺麗に形成されなかった。
ロータリーに出て空を見上げる。酔っている時のお決まりのローテーション。冬は空気が澄んでて星空が良く見える。オリオン座と冬の大三角形はすぐに見つけることができた。
アルコールの発熱作用も京都の極寒では長く保たない。巧みにマフラーやコート袖の隙間から、針のように冷風が差し込んできて小さく身震いした。
——早く帰ろう。
硬い無機質なコンクリート道の商店街を早歩きで通った。
意外にも駅近くは暗いのだが、少し歩いた先は府道13号線が通っていて、夜中も多くの車が行き交う。エンジン音や街灯の眩しい光などで、この一帯は以前住んでいた沓掛よりも騒がしい。
商店街の中にいても小さく賑やかな音が耳に入ってくる。(淀本町商店街は、納所信号交差点から少し入り組んだところにあるのだが。)
祖母が就寝前、ボリュームを下げてテレビのバラエティ番組を見ながらうとうとしている光景を思い出す。不規則だけど規則的。これ以上大きかったら騒々しいだろうし、逆に小さくても奇妙なノイズだと気になってしまうだろう。
絶妙な音の調整。
この日はライブハウスにて、上質な生演奏を聴きながらお酒を呑むという、最高に贅沢な時間を過ごしていた。帰り道に聴いた音は、‘音楽’と定義して良いのか分からないものだが、これらもちょっと一工夫したら‘音楽’へと変わるのだろうか?
‘落書き’から‘美術’が生まれたように。
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