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『大きなおいも』

  • 執筆者の写真: ユウキ サクタ
    ユウキ サクタ
  • 2020年11月27日
  • 読了時間: 2分

「これ、しばらく祀っとこや〜。」


先月から共用キッチンの片隅に、どんっと佇んでいるさつまいも。ハイデンバン作家さんの一人がせっせと畑で育てたものなのだが、想像以上にすくすくと生長したらしく、縁起物(?)として採れたてほやほやの状態でアトリエにやってきたのだ。


おいも効果だろうか、この日以降様々なお客さんがやってきた。

作家はもちろん、学生時代の後輩、友人、知人、大勢のコレクターさん、美術評論家など……。

これほど賑やかに人が出入りするのは久しぶりだとか。ハイデンバンは分野の垣根を超えて、様々な人と繋がることをコンセプトとしている。この空間本来の在り方を再確認できた気がする。

そして、2階のキッチンへ赴くと全員必ずおんなじ反応をした。

「うわあ!大っきいさつまいも!!」

しばらくその場に立ち止まって、初対面同士で会話が弾むという現象が起きていた。

「もうちょっと見学したいなあ。」と、嬉しい感想をくれた人もいた。(残念ながらスケジュールの関係で長居できなかった。)

昔話の「大きなかぶ」を思いだす。あのお話も巨大な食物をきっかけにいろんな生き物達が集っていた。規格外に大きなものはどんな立場の人も虜にしてしまうようだ。



おいもは日持ちの効く食材。だが、人々のご縁を呼び寄せたこのお供え物も、そろそろ食べ頃を迎えるのでは?

後日、作り手さんに許可を得て調理に使うことにした。鏡開きをするかのように神聖な気持ちで、おいもを洗ってまな板の上へ。


ザック、ザック、ザックリ。


包丁の刃が負けそうになりつつも、ぱっくりと輪切りに真っ二つ。おいもケーキに、グラタンに、さつま芋ご飯も美味しいし、おつまみで芋けんぴにするのも良いかもしれない。


一つの塊からいろんな料理を作り出せる。これは大きな食材の成せるワクワク感、醍醐味だ。

「いただきます。大事に食べるからね。」


保食神様を連想した。




 
 
 

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