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『たった一言』

『またね。』 別れ際に交わすこの言葉は、「さようなら」や「バイバイ」と比べると、とても気軽にやりとりできる言葉だ。でもその一瞬から、自分の今生きている時間がどんどん遠ざかっていくにつれ、ものすごく重みを増してくる一言かもしれない。...

『'匂わせ'技法の起源』

様々なSNSが発展している今日この頃であるが、どの媒体においても必ず話題になる『匂わせ』についてちょっと考えてみた。 匂わせ:サ行五段活用動詞「匂わす」の命令形、またはサ行下一段活用動詞「匂わせる」の連用形、その連用形が名詞化したもの。明言せずにそれとなく気づいてもらえるよ...

『クレアおばさん in Deutschland』

最近ドイツ語の勉強をおさぼり気味である。 3ヶ月ぶりくらいにテキストを開いたら、以前はすっとイメージが湧いていた単語が分からなくなっている始末だ。 さて、こんな万年初心者なドイツ語力であるが、忘れられない新鮮な画像が湧き上がる言葉がある。...

『オタク暮らし』

4月29・30日とGARNET CROWのデビュー20周年記念イベントで、大阪の堂島リバーフォーラムへ行ってきた。(このバンドについては、しつこいほどに過去のエッセイで語っているので割愛する。) 何を隠そう、彼らの活動当時のライブには一度も参加できなかったため、今回が初めて...

『心の存在場所〜雪女についての疑問〜』

心は体内の何処にあるのだろう。 当然胸の中だろう、いやいや頭で考えるのだから脳だろう、足元にあるという説も聞いたことがある。 『雪女の子ども達はどうなったのだろう?』 唐突に思い浮かんだ気になった事。 何の脈絡も前後の関連性も無く、心の中で急に湧いてきた疑問だ。気になって気...

『インプット』

うさぎ、ぞう、きりん、つる。これは幼い頃から認識している動物たちだ。そして彼らには共通の特徴がある。 耳が長い、鼻が長い、首が長い、嘴が長い。みんな身体のどこかが突出して長い。保育園での日常のひとこまで、 「この影は誰かな~?」 「ぞうさん!」...

『音の聴き方』

4月1日に河原町にある丸善書店で本をまとめ買いした時、ちょうどイベント期間中だったようでスクラッチくじを引いた。 こういったくじ運は昔から悪く、大抵ハズレや参加賞などおまけの景品を貰うことが多かった。 ——のだが。 「わあ!おめでとうございます。A賞です!!」...

『出現』

ハイデンバンにある壊れた花壇を修理して、新たな菜園をスタートさせようと土を耕していた。秋からずっとほったらかしにしていた土は表面がカラカラに乾いていたが、掘り進めていくとしっとりした柔らかな土が顔を出し、無数の落ち葉も紛れ込んでいた。これはこのまま腐葉土になるのかな?...

『Myアトリビュート』

アトリビュート。美術用語では伝説・歴史上の人物や神話の神々と関連づけられた持ち物を指し、その持ち主を特定する役割を果たす。持物(じぶつ)とも言う。聖母マリアなら百合、ギリシア神話のゼウスなら牛や雷などが有名だ。絵画を解釈する時、人物の周りに何があるか、何を持っているかなどを...

『絵と文字の音声再生』

安野光雅さんの展覧会に行ってきた。展覧会会場は学校の教室のような雰囲気と展示動線で、こくご、さんすう、おんがく、えいご、りか、しゃかい、それぞれのキーワードで作品を展開していて、安野さんの郷愁に満ちた優しくも摩訶不思議な世界を構築していた。...

『日光を浴びたい』

梅、水仙、菜の花や白木蓮など、多くの花々があちこちで開花するのを見かける季節がやってきた。早春の暖かさと寒さの名残りが混ざり合うこの時期は、花粉症や早起きしすぎた虫との格闘が始まる。ちょっとげんなりしそうな日々を、ささやかに可愛らしく縁取ってくれる花は、最近の気温と陽気な空...

『人様の呼び方』

名前に「ちゃん」を付けて呼ぶ。心理的には、可愛いと思ったり守ってあげたいと感じさせる人に対してそのように呼ぶ事が多い。ごくありふれた呼び方だが、果たして何歳までの人をそう呼んで良いのだろう? 以前にも記した通り、母は松田聖子さんの筋金入りのファンだ。...

『世界で一番美味しいもの』

先日SNSで流れてきた動画が、今、心に静かにゆっくりと浸透している。 一人の若い兵士が街の住人から一つのパンと一杯の紅茶を貰い、涙を流しながら食べている。僅か数分の動画だったが、此処で画面に映り込んでいる人々の背景を整理してみた。...

『継続』

「続けることが大事だね。」 いろいろな場面で拠り所となっている一言。 はっきりと意味を刻みこんだのは、名古屋芸術大学の学生時代、ほんの短期間だけお世話になった先生の個展を見に行ったときの事だ。 直接授業やゼミで教えていただいたことは無かったが、アトリエで顔を合わせたときに作...

『記憶の抽斗』

記憶は絶えず動いている。保育園、小学校、中学校、高校、大学、大学院と、いつでも誰かと、何かとの出会いがあった。大きくも小さくも色とりどりな思い出は、人物像やその時の風景とともに記憶の抽斗に仕舞われている。 ただし、その抽斗は整理整頓されていない。思い出のパーツはバラバラにな...

『大人になること』

『また一つ大人になりました^^』 2月7日に誕生日を迎えたGARNET CROWのリーダーさんが、ツイッターで記していた文章。 年齢的には既に’大人’として長い時間を過ごしているが、毎年この日には同じような言葉を投稿している。最後の顔文字に人間味と世代独特のユーモラスな印象...

『間違い電話』

SNSを含めさまざまな連絡手段が発達しているおかげで、電話番号にかけて通話をすることはほとんど無い。iPoneの通話履歴の日付けを見てみると、半年以上間隔が空いていたり、1年以上発信も着信も無かった時期もある。 先日、そんな貴重な通話履歴に新たな履歴が記録された。...

『真逆の欲求』

ただいま作品制作が切羽詰まっている。有難いことに複数の展覧会を控えている今、未完成の作品に向き合い、ああでもないこうでもないとやり取りを続ける毎日だ。 さて、私は制作中のBGMとしてSpotifyで音楽を流している。好きな曲だったりアプリがおすすめしてくれた曲だったり、アト...

『謎めいた落とし物』

人が往来する道をよくよく見てみると、その場にそぐわないものが転がっている時がある。誰かの腕から滑り落ち、そのまま気づかれずに置いてけぼりにされてしまったのかもしれない。 ただし見つけた瞬間は、 「なんだこりゃ?」 と、頭の上にクエスチョンマークが無数に出てくる。用事で急いで...

『アトリエ玉手箱』

久しぶりに境谷小学校アートスペースへ行った。 およそ半年ぶりに入った制作室は蝉の鳴き声が響く夏の日に出した絵具そのままに、時間が日焼けしたような空間になっていた。 「うわっ、こんな作品描いてたっけなあ?」 すっかり置き去りにしていた作品に少しだけ砂埃——小学校特有の細かな白...

エッセイ: Blog2
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