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執筆者の写真ユウキ サクタ

『巡礼』

聖地巡礼。この言葉は漫画やアニメ、ミュージシャンやアイドルなどのカルチャー文化圏で最近よく耳にする。

元々の意味合いは、宗教において重要な意味を持つ場所へ信者が赴くことであり、特にキリスト教の文化圏では巡礼だけでなく、その場所へ至るための過程も重要視されているそうだ。ヨーロッパでペストが流行した14~15世紀頃、加護を求めて巡礼が盛んに行われていた。(皮肉にもその旅路が、当時の感染爆発の一因になってしまったという説もある。)

今でこそ自家用車や新幹線・飛行機など発達した交通機関のおかげで、誰でもお手軽に遠くまで旅を楽しみ、ちゃんと家まで帰ってこられるようになっているが、昔は自分の足だけを頼りにした命懸けの行動だった。(上流階級の人々であれば籠や牛車、馬車などがあったけど。)


日本で歴史のある『聖地巡礼』といえば、四国を巡るお遍路さんが思い浮かぶ。1200年前の平安時代に弘法大師が修行をした88ヶ所の寺院を巡り歩いて祈願し、大師にあやかり功徳を得るのが主な目的。現在はその目的も多様化していて、観光を楽しむ、健康のために歩く、自分探しの一環だったり様々だ。もちろんお遍路さんとしての心得はしっかり守らないといけないが、キリスト教の巡礼ほど厳格でもなく自分のルートで廻ることができる。密かに旅の候補にしている。


四国へは小学生の頃、家族で金刀比羅宮へお参りしたことはあるが、当時は’お遍路さん’という言葉も知らなかった。境内へ向かうまでの果てしない1368段の階段を雨の中はしゃいで登っていたのを覚えている。この時ちょうど台風が四国に接近していて、弱々しくも生温かい風がふいていた。滑って転ばなかったのは大師様の御加護があったからかもしれない……。参拝を終えて下山した後、天気はいよいよ荒れ模様になり電車も止まっていたのだが、幸いフェリーが通常運行していて無事に帰路に着くことができた。波に乗って大きく揺れる甲板から弟と2人で水平線にぼんやり浮かぶ四国の陸を眺めて、この年の家族旅行の思い出は締めくくられている。旅行ではしゃぐタイプの父親は、船酔いを恐れて珍しく大人しかった。

金刀比羅宮はお遍路さんの八十八ヶ所霊場には含まれていないが、『こんぴらさん』という呼称で親しまれている。今度は晴天の景色を眺めたい。






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