どんぶり料理として、カツ丼、親子丼、海鮮丼、鰻丼、天丼等がある。ライス料理として、カレーライス、ハヤシライス、タコライス、ガパオライス、オムライスが挙げられる。ちょっと思いつくだけでよだれが出そうになるが、さてこれらの料理、’どんぶり’と’ライス’でどんな違いがあるのだろう。
共通点はどの料理もご飯の上に具材が乗っていたり、たれや出し汁がかかっている。大胆に白米と混ぜ込むのも良いし、盛り付けられたご飯を少しずつ崩して食べるのも美味しい。
相違点は何処だろう?まず、ぱっと見て分かるのは盛り付ける器。どんぶりは深めで大ぶりな分厚い陶製の鉢。手で持ち上げて支え、お箸で食するのが一般的。定食屋さんで注文すると大抵れんげも付いてきて、幼少期はこれをスプーン代わりにしていた。
洋食レストランで登場するライス料理は、真っ白で大きな平皿。陶器のものもあれば、シルバー色のステンレス、西洋の歴史映画などでは銀食器を使用していたりする。これらは食事中に持ち上げる事はしない。
他の部分に注目してみると、感覚的にどんぶり料理は大衆向けで、遥か昔から日本の風土に馴染んできた印象がある。和食にも懐石料理や卓袱料理、御膳に精進料理など敷居の高いものが多く存在するが、どんぶり料理は誰もが生活の中で接していて、最も親しみのある和食スタイルの一つだ。歴史は室町時代まで遡る。当時流行していた、細かく刻んだ野菜や魚をご飯に乗せ出し汁をかけた『芳飯』が起源とされている。その後江戸時代の町人文化や、明治の文明開化、冷蔵・保存技術の発達、食材のグローバル化を経て、現在進行形で多種多様などんぶり料理が発展している。(インターネットを漂っていたら、全国丼連盟なるホームページを見つけた。)
一方、ライス料理も普段の暮らしと密着しているが、こちらは明治・大正時代のちょっとハイカラで、モダンでお洒落なイメージが出発点。西洋料理を日本人の好みに合わせてアレンジしたメニューがほとんどだそう。カレー発祥の地であるインドや、カレーが伝わる中継地点だったイギリスのカレーとも違う進化を遂げている。ハヤシライスやタコライス、オムライスは日本発祥の料理。デミグラスソースや牛肉など、西洋から伝わった食材、調味料を扱っているが、厳密に言えばれっきとした日本食。(でもどう見ても和食屋さんにある印象はないですね。)最近はエスニックブームで、タイが起源のガパオライスも浸透してきている。
食事のマナーとして、お茶碗や平皿に盛り付けられた白米におかずなどを乗せて汚すのは御法度らしい。でも、いろいろな味と旨味が凝縮された濃厚な料理と白米は相性が抜群だ。事実、世界中で『ご飯の上におかず』スタイルの食文化が育まれている。
丼とライス、どちらもお気に入りレシピが満載です。
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