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『お馴染みドライバー』

アトリエから仕事場へ向かう時、おおよそ15:10の時刻に国道171号線と合流する勝竜寺信号交差点に差し掛かる。此処を右折してひたすら直進するのが毎度の通勤ルート。 出勤の度に同じ道を使っていれば、密かにお馴染みの車やバイクを見かけることが多くなる。ヤマザキパンの運送トラック...

『七草の人』

晴れて新年を迎えて10日以上が経過した。この期間でも出会った人々やお別れした人々は沢山いて、たった一度の偶然の出会いが、ささやかに私の生活へ影響を与えている事もある。 作品制作の息抜きに、アトリエの近所を散歩していた時のこと。この日はいつもの桂川土手沿いではなく、京阪淀駅あ...

『能天気な顔で』

足元をシャカシャカと賑やかしていた落ち葉もいつの間にか地面に溶けていき、残された2022年の時間もわずかであることを知らせている。この時期はより一層、‘ジャネーの法則’がひしひしと感じられて自分の生きてきた時間の長さを実感する。 「チーズケーキをホールでガツガツ食べたい!」...

『泣きっ面に蜂な日』

料理の本などで、蜂蜜を使ったレシピをよく見かける。一人暮らしを始めるまで、蜂蜜の役割はホットケーキの上にかける飾りつけだけというイメージだったが、カレーの隠し味や塊肉の漬け込みの調味料など様々な用途があることを知った。糖分の他ビタミンやミネラルを含み、疲労回復・腸内環境を整...

『諺いっぱい』

北方ルネサンスを代表する画家ピーテル・ブリューゲルの代表作『ネーデルラントの諺』は、46×64インチのそれなりに大きな画面上に、ぎゅうぎゅうと大勢の村人達が描かれている。 当時のネーデルラント地域の小さな村での日常生活をモチーフにしているが、タイトルにもあるように人々は諺の...

『それぞれに価値あるもの』

猫に小判、豚に真珠、馬の耳に念仏、兎に祭文——たとえ値打ちのあるものでも、その価値を理解していない者に与えても無駄であることの例えとして、どれも古くから使われている表現だ。そして相手やその場にいない第三者を見下すニュアンスが含まれていることが多い。...

『幸運の象徴』

思いがけず幸運が舞い降りてくる状況を、「棚からぼたもち」という諺で表現する。幼い頃は小豆が苦手で、それをふんだんに使ったぼた餅を幸運に見立てている諺に全く共感できなかった。月日の経過とともにいつの間にか小豆も食べられるようになり、今や大好物の一つになっている和菓子だが、ちょ...

『原点回帰』

アトリエを片付けていた時、ドローイングボックスからぼろぼろに古びた作品が出てきた。2004年1・2月用の縦長カレンダーの裏面にびっしりとうさぎ、ウサギ、兎……。 2004年といえば小学4年生くらいだったか?うさぎは子どもの頃によく描いていたモチーフだ。耳が長いという特徴的な...

『恐怖心と高揚感』

単体では何も感じさせないのに、無数に集まることで異様な心理的影響を及ぼすものがある。 足元が賑やかになる季節がやってきました。 自然が生い茂る森に行かずとも、近所の公園、街路樹や庭先の小さな木々さえも、着飾っては落とし着飾っては落としを繰り返し、地面いっぱいにカラフルな葉っ...

『意思を持つゴーレム』

スタジオハイデンバンの向かい側の道沿いに、更地なのか誰かの所有地なのか不明な鬱蒼と雑草の茂っている土地がある。その土地のちょうど真ん中あたりには、もこもこと木が生えていて幹が全く見えないくらい、通常よりも大きめな葉っぱが無造作に覆いかぶさっている。この場所だけぽっかりと、時...

『牧場の蒐集家』

牧場の朝ヨーグルトのパッケージ裏に、イメージキャラクターの牛たちがデザインされているのをご存知だろうか? つくってあそぼ!をキャッチフレーズに、幼い年齢のお客さんたちの心を鷲掴みするために仕組まれたであろう工作用付録だが、SNSを見てみると、意外にも社会の荒野を耕す経験を積...

『ゴットハルト鉄道』

先日名古屋で開催した個展が無事に終了しました。仕事との関係もあり、期間中は何度か京都と名古屋を行ったり来たりしていたが、次の制作への課題が見えて収穫の多い展覧会となった。 さて、ギャラリーにて在廊していた時のことだ。 お客さんとの会話の中で、多和田葉子さんという小説家の名前...

『忘れられた巨人』

カズオ・イシグロさんの小説「忘れられた巨人」には、‘お姫様’が登場する。このお姫様は、華やかなドレスも高価な宝石も持っていない。村に迷い込んだ旅人を丁寧にもてなしたり、かと思えば持ち前の勝ち気な性格で蝋燭の灯りを求め村人と少々揉めたり、自ら旅の道先を歩んでいったり、かなりお...

『BIRDMEN』

『まんが』は言わずと知れた日本の文化の一つとして、世界共通の言葉となっている。物心ついた頃から既に漫画は手の届くところにあって、いろいろなジャンルの漫画を読み漁っていたなあ……としみじみ思い返した。SF、社会ドラマ、ファンタジー、ミステリー、学園、ホラー、歴史など。物語だけ...

『百年の孤独』

ガルシア・マルケスの代表作、『百年の孤独』のクライマックスの場面で、一番印象的な文章がある。 「この百年、愛によって生を授かった者はこれが初めて』 おや?アウレリャノ・ブエンディア大佐は食事も喉を通らなくなるほどに、レメディオスを愛してはいなかったか?...

『お出かけゼミ』

大学院で所属していた畳ゼミでは、『お出かけゼミ』と称して大阪や京都市内の展覧会を見に行っていた。その中で印象的なお出かけ先は、大阪の万博公園敷地内にある国立民俗学博物館(通称みんぱく)。 天井の高い広々とした空間に、世界各地の民族衣装や生活道具、人形や祭壇など独自の芸術作品...

『旅の恥』

旅の恥は掻き捨て——旅先では知っている人もいないからどんなに恥をかいたとしてもその場限りである、という諺。 旅の解放感や見慣れない景色、自分にとっての非日常な時間の過ごし方で自制心が緩んでしまうのも無理はない。 しかし、旅の楽しい思い出がいつまでも残るように、同時に恥なる思...

『巡礼』

聖地巡礼。この言葉は漫画やアニメ、ミュージシャンやアイドルなどのカルチャー文化圏で最近よく耳にする。 元々の意味合いは、宗教において重要な意味を持つ場所へ信者が赴くことであり、特にキリスト教の文化圏では巡礼だけでなく、その場所へ至るための過程も重要視されているそうだ。ヨーロ...

『今も気ままに』

岡山県倉敷市は、一人旅で何度も訪れている観光地。 最初のきっかけは倉敷美観地区内にある大原美術館で、毎年実施しているARKO(Artist in Residence Kurashiki, Oharaの略称)に招聘された作家さんの展覧会を見に行った事だった。倉敷川沿いの小道か...

『モーニング文化〜ノスタルジー〜』

先週愛知県に帰省した時に、名古屋独自の喫茶店モーニング文化を味わってみた。名古屋のモーニングはちょっと変わっていて、平日朝の時間帯は、飲み物を注文すると自動的にトーストとゆで卵がついていくる。珈琲や紅茶がだいたい一杯400円ほど。外食だと大抵、料理に追加してのセット等で飲み...

エッセイ: Blog2

©2020 by 作田優希。Wix.com で作成されました。

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