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執筆者の写真ユウキ サクタ

『お馴染みドライバー』

アトリエから仕事場へ向かう時、おおよそ15:10の時刻に国道171号線と合流する勝竜寺信号交差点に差し掛かる。此処を右折してひたすら直進するのが毎度の通勤ルート。

出勤の度に同じ道を使っていれば、密かにお馴染みの車やバイクを見かけることが多くなる。ヤマザキパンの運送トラック、ヤサカやMKのタクシー、長岡自動車教習所の仮免許運転練習中の車だったり、なんとなくこの時刻、この国道を利用する人々の傾向が窺えるようになった。そんな中でも特に(勝手に)親近感を感じているのが、ピンク色の大型MTバイクに乗っているドライバーさんだ。

大阪方面から国道線を走ってくるその人とは、前後差はあれど高確率で勝竜寺交差点にて遭遇する。フルフェイスヘルメットとジーンズの定番スタイルでグリップを握るその人は、巨大な二つのタイヤを転がすには華奢な体格だが、無駄のない慣れた運転技術を有している。

もちろん大型バイクの免許は誰でも取得できる。が、自分が400ccMTバイクの教習所を卒業する時、「体格に合ったバイクを絶対に選んでくださいね。」という言葉を餞にいただいたことは忘れられない。

バイクに取り付けるサイドバッグにボワ生地のふわふわした装飾がされていたり、ヘルメットとバイクの配色からは可愛らしくファンシーな印象を受ける。同い年くらいの女性ドライバーかな?

先日たまたま並列して走行する瞬間があり、信号待ちの停車タイミングで何気なく隣を見てみた。——と、あちらのヘルメットも振り向いて、お互い顔は不明なままヘルメット越しに視線だけの挨拶が交わされた。

どうもこんにちは、今日も混んでますね。

信号が青になり同時に発進したものの、馬力の大きなあちらのバイクの方が先にぐんぐん進んでいった。ほんの数秒のアイコンタクト。あの人が何処からやって来て何処まで向かうのか、結局今も分からない。そしてあの人も、私の家やこれからの行き先を知ることなどできない。たまたま同時刻にこの国道を通っていて、たまたまバイクを運転していただけの、小さな偶然の積み重ねを繰り返しているだけである。

さて次の出勤日も会えるかな?仕事自体は憂鬱だが、せめて通勤時間にはわくわくする要素を。


取り敢えず安全運転。




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