先日相方と久々にカラオケを楽しんだ。お互い最推しのバンドや懐かしい曲など、いろんな音楽を交互に熱唱し日頃のストレスや鬱憤を晴らしたのだが、相方が選曲した歌の中にASIAN KUNG-FU GENERATIONの『リライト』があった。
高校·大学·大学院時代、それぞれの友人達とカラオケに行った時も必ず誰かが歌っていた曲で、アニメ『鋼の錬金術師』第四期のオープニングテーマだったそうだが、実を言うとこの歌を本家本元のバンド演奏でじっくり聴いたことがなかった。
リズムやMVはカラオケ映像のおかげでぼんやり覚えている。さらに記憶にあるのは何人かのさまざまな歌声。高校の部活の先輩、大学の同期や後輩、院の友人。おかしな事にバンドのボーカルさんの歌声はインプットされていなくて、ぷかぷか浮かぶ本人映像と異なる歌声がちぐはぐに縫い込まれていた。
「高校のときめっちゃ流行ってたで。」
その効果は絶大で、アニメをリアルタイムで見ていなかった私でさえもこの歌の存在を知っていた。‘流行’はとても移ろいやすく、留まることを知らずあっという間に次の波に押し寄せられるもの。それでも、全く知らない人や遠く離れた人と一瞬でも共有された‘流行’によって、年月を経て知り合った相手とも、古い古いタイムカプセルを一緒に探し当てた同志のような感覚を得られる。‘流行’当時のお互いを知らなくても、気持ちがタイムスリップしてその時代の匂いや街の喧騒も蘇り、その場所で一緒に屯する擬似記憶が作られそうだ。2000年代や2010年代の雰囲気が、今とやはり違う雰囲気だったことを改めて認識した。
最近はYouTube musicにて、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『リライト』を聴くようになった。今まで何人もの『リライト』を耳にしてきたおかげで、脳内再生する時の『リライト』は、さながら合唱曲のように壮大で混声三部合唱になっている。今後お手本とも言うべき本家の曲を繰り返し聴いていたら、上書きされてロック曲として再生されるだろうか?
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