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『選択した先の答え』

パラレルワールドという概念がお気に入りです。 「もしもこうだったらどうなっていただろう?」と通り過ぎてしまった過去を振り返るきっかけになる思考回路。後悔でもなく安堵でもない、ただなんとなく此処とは違う世界線があったとしたら、自分はどんな風に生きていただろう、と漠然とした空想...

『パフェコレクション(変化球)』

パフェの語源は‘parfait’、フランス語で「完全な」という意味を持つ単語からきているという説がある。フルーツ、アイス、ゼリー、ソフトクリーム、クッキー、ビスケットなど沢山の素材を色とりどりに積み上げて、冷たくひんやりした美味しい花束となる。器の形も花束の印象を左右する重...

『珈琲時間旅行』

地域の評判や名物メニューを下調べして目的地に向かうのも良いものだが、偶然通った道沿いでたまたま発見したお店に入るのも、探検隊気分を味わえて一興である。 神戸での用事を済ませ、直射日光の照り返しが激しい坂道を三宮駅目指して歩いた。右側歩道沿いに蔦の絡まるレンガ建築と青銅色の街...

『再会の味』

淀駅前の商店街に新しくスパイスカレー屋さんが開店した。コック帽を被ったとらねこが看板キャラクターを務め、お店の外にも香りが溢れるほど濃密なカレーオーラを放っている。 先月初めて扉を開けて、5年ぶりに会った大学時代の友人とスパイスに包まれた店内に入り込んだ。...

『クラフト時間』

先日神戸へお出かけした折り、三宮駅近くのクラフトビールバーVALLE SAGRADOに立ち寄った。3月に個展を開催したギャラリーからも徒歩圏内にあり、それなりに街並みの雰囲気を掴んでいたはずだったが、グーグルマップを頼りに歩き目の前にお店の看板がドンッと現れた瞬間は、全く知...

『太陽と月』

太陽を神様として祀る文化は世界中に共通していて、日本神話では有名な天照大御神だけでなく、天火明命、天之菩卑能命などが挙げられる。ギリシア神話、アステカ神話、エジプト神話、さらにはヒンドゥー教や仏教などの宗教にも太陽神が存在する。...

『季節折々』

日本列島は全体的に温帯気候に属しており、四季ごとの風景や肌感覚での空気の変化を感じられる。ただそうは言っても南北に伸びて急勾配な山脈が連なる地形では、地域によってやはり大きな差が生じている。北海道と沖縄の違いは言うまでもないが、本州内でも違いは顕著だ。...

『帰りゃんせ』

夕暮れの情景を描いた歌はこれまで音楽分野を問わず耳にしてきたが、取り分け不可思議な印象を残しているものが童謡の「あの町この町」。 意外にも歴史は新しく、大正13年(西暦1924年)に野口雨情の作詞・中山晋平の作曲で発表された日本の代表的な童謡・唱歌として位置づけられている。...

『虹の象徴』

景色を眺めて見つけたら、必ずカメラレンズを向けたくなる気象現象。 虹は古来より神聖視される事が多く、日本神話でもイザナギ・イザナミの二柱の神が天浮橋と呼ばれる橋に立ち、天沼矛で混沌とした大地を掻き回したとされる。この天浮橋が虹だという。...

『雨がもたらすもの』

梅雨時は昼間も空がグレースケール一色に覆われる。そんな空を背景にすると、どんなものも明度が暗めなシルエットとなる。 頼りがいのあるはずだったコンクリートも、年月を経て凸凹した所に降り滴る雨粒が溜まりに溜まり、幾つもの小さな池が作られていた。地面に視線の高さを近づけてみると、...

『母語が死語になる時』

‘死語’とは、過去に使われていたが時代の変遷につれて使用されなくなってしまった言葉のこと。もう一つは、かつて使用されていたものの話者がいなくなった事で全く通じなくなった言語そのものを指す場合もある。 後者は世界規模で起きている状況だ。...

『いくつもの意味』

一つの言葉に一つの意味、とは限らずいくつかの意味を持っていることが多い。 例えば「ぽすと」。 郵便を投函するポスト、ポストカード、会社の役職として使われるポスト、小学校でのバスケットボール部ではポストプレーなる練習をしていた。美術史で語られるポスト印象派やポスト構造主義、ポ...

『スラング』

スラング……特定の社会や仲間内だけで通じる卑俗な単語。卑語、俗語のこと。 SNSなどでよく使われている「www」や「草」などをネットスラングと呼んだりするが、その移り変わりは激しく、ほんの数十年程の歴史でありながら知っている単語によってジェネレーションギャップが発生しやすい...

『'活'の効果』

先週のゴールデンウィークに、GARNET CROWのイベントで大阪のhills パン工場ライブハウスへ行ってきた。今年はバンドが解散してちょうど10年。10という一区切りの期間、この時間を振り返ってみると自分の生活スタイルや環境の変化はもちろん、社会全体の雰囲気や在るもの無...

『物語の定義』

世界には数えきれないほどの昔話が存在している。子ども時代から馴染みのある物語や、映画・小説の元になった長編物語、ファンタジー要素の強いものから当時の風俗がふんだんに盛り込まれウィットに富んだものまで多種多様だ。 昔話といえば、かなり残酷な描写やグロテスクで刺激の強すぎる表現...

『美人の定義』

世界三大美人と言えば、小野小町・クレオパトラ・楊貴妃。いつからこの知識が植えつけられたのか、少なくとも小学生の時点でそう認識して、特に疑問に思うことなくそういうものなんだと思って過ごしてきた。だが、ありとあらゆる知識を学んで世界が広がっていくにつれ、違和感を抱くようになる。...

『良い絵の定義』

先日、京都のギャラリーで開催中の友人の個展に行ってきた。全国的に日差しが眩しく暖かい土曜日だったため、どの散歩道を選んでもいろいろな人とすれ違った。ギャラリー会場も緩やかに人と春の空気が循環していて、新しい環境リズムの音色を感じるような出会いや会話がぽこぽこ育まれていた。...

『私の友達定義』

乳児期、幼児期、児童期、思春期、青年期、そして社会人とそれぞれの時間の中で、沢山の人と出会ってきた。その中で『友達』は、どの時期においても私個人の人格・思想に大きな影響を与える人でありながら、赤の他人との区別が曖昧で難しい、ある意味で正体不明の存在だ。...

『ビールの沼』

我が家にはクラフトビールサーバーなるものがある。月に一度、全国津々浦々のブルワリーオリジナルブランドのビールを2種類注文し、サーバーにセットして酒場さながらにビールをグラスに注ぎ、晩酌を楽しむのが日課となっている。全国のクラフトビールを家庭で味わおう!をモットーに始まった、...

『乾杯スタイル』

お酒を交わす飲み会の場では様々なマナーが存在する。地域ごとでも特色が出るのだから、国が変わればさらに違いが際立つもの。 縁あって、台北市に新しくオープンしたギャラリーのグループ展に参加した。この機会に台湾への初旅も大急ぎに計画し、実に三年半ぶりの海外旅行を楽しんだ。...

エッセイ: Blog2
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