近所には保育園から小学校・中学校が徒歩圏内にあり、駅が中心点となりベッドタウンのようにマンションや住宅地が密集している。小さな公園には小さな滑り台、鉄棒、スプリング遊具。時間帯によって公園に集まる人の年齢層は変わってくる。午前中は赤ちゃん連れの人やよちよち歩きの幼児の姿が多く、学校の授業が終わる夕方頃は小学生達の甲高く真っ直ぐなはしゃぎ声が聞こえてくる。そして小さい子はもちろんのこと、大抵どの子も自分の親を「パパ、ママ。」と呼んでいる。
私達の世代でも、幼少期に「パパママ」呼びしていた人は多いのではないでしょうか?
破裂音の特徴を持ち、所謂口を一瞬閉じてから発音するこの発声方法は意識してみると意外と難しい。そんな単語が幼い子の重要な言葉の一つになっているのはなんとも不思議な感じがする。
ただ自分の幼少期はちょっと違っていて、両親は絶対に「パパママ」呼びを許さなかった。注意を促す感じではなく、呼ぼうものなら烈火のごとく怒られた。(大袈裟かもしれないが想像してみてほしい。信頼を寄せている大きな大人に叱られる背丈100cmにも満たない幼な子の心理を。)
保育園時代、周りの友達が皆「パパママ」呼びしているのに乗っかって父親のことを「パパ」と呼んでみた。
『パパなんて呼ぶな!男ならちゃんと‘お父さん’と呼びなさい!」』
——私は女だけど?とツッコミを入れる切り替え力なんてなく、大泣きしながら帰路に着いた記憶が強烈にこびりついている。
この点については母親も同じ考え方だったようで、懲りずに「ママ」と呼んだ時には……、
『やめなさい!ちゃんと‘お母さん’と言えるでしょう!』ときついお説教をくらった。
以来、私達兄弟は日常的に「パパママ」呼びする事なく今に至る。一体何故それほどまでにこの呼び方を嫌がっていたのか?
ある程度成長し対等な会話ができるようになった時、ふと気になって尋ねてみた。
『大人になっても親をパパママなんて言ってたらみっともないでしょう。それにうちらがパパママってキャラだと思う?』
あくまでキャラに拘っていたらしい。
現在、大人世代の一員となっている私達の中で、両親を「パパママ」と呼んでいる人は見かけない。何処かで呼び方を変えるタイミングが訪れていたのだろう。
でも今の子供達が成長した頃には、「パパママ」呼びのままの大人が増えるのだろうか?それともやっぱり自然と変更していくのだろうか?
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