「百年の孤独」の文庫版が出版されました。ハードカバーの本は以前から本棚に仲間入りしているのだが、この度ずっと探し回っていた文庫版もようやく購入できた。今年6月26日に新潮社から発売されたばかり。世界的ベストセラーでありながら、今まで文庫化されていなかった事に少し驚いた。どおりでこの数年間、大型書店を練り歩いても見つからなかった訳である。
本を買う時、極力ネット通販を使わずに、書店で散策したり見つけたりしている。自宅とアトリエの本棚には、方々で入手した本がぎゅうぎゅう詰めになってはち切れそうな状況だ。(そろそろ整理したほうがいいかも。)
お店で買った本には綴られたその物語だけでなく、何処で見つけたのか、どんなお店だったのか、どんな散策方法で見つけたのか、といった経緯も記憶としてついてきて、読書をする時や本棚を飾る時にもなんとなく柔らかな思い出になって片隅に残っている。既に閉店してしまった書店で購入した本、ちょっと寄り道した時にたまたま見つけた雑貨屋さんに置かれていたエッセイ(お店の名前を記録し忘れてしまって、何処だったか思い出せない。)、古本市場で購入した小説、神戸の古書店で見つけた童話など、一冊ごとにそれぞれ記憶の色彩があって、本の内容とは無関係な楽しみ方を味わっている。
今回の文庫版「百年の孤独」は、河原町通りの四条と三条の間にある京都BALビルの地下1・2階に入っている丸善で購入した。ギャラリー巡りをした帰りによく立ち寄る書店の一つで、大型ショッピングモール独特の香りが印象的。一階で営業している香水か衣料品の店舗の香りがエスカレーターを伝って降りてきているのかもしれない。とにかく書店らしくない香りがいつもあたり一面に漂っている。エスカレーターすぐ横に設置されている話題書や店員お勧めコーナーを散策し、アート書籍や料理の本棚など目的を定めずふらふらと歩いていく。文庫コーナーに立ち寄った時、いきなり「百年の孤独」の列が目に飛び込んできた。こうして偶然に欲しかったものを見つける瞬間が最高なのです!
手書きのポップに『一人でも多くの方に読んでいいただけるようお一人様一冊のご購入でお願いします。』と書かれていた。購買意欲をそそる内容紹介ではなくお願いの文面。小説そのものの人気の高さがうかがえる。
何度も読んでいる物語だが、掌サイズの文章と散策の思い出をリンクさせながらページをめくっている。
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