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『ちいさすぎる秋』

執筆者の写真: ユウキ サクタユウキ サクタ

ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた


さて今年は見つけただろうか?10月に入っても部屋では冷房が稼働していて、かと思ったら下旬には寒さが押し寄せ、暖房を大急ぎで手入れして使い始めていた。そして今は、起床してすぐにエアコンのリモコンを掴んでボタンを押し、暖かい空気を循環させるのが毎日のルーティーンとなっている。窓から流れ込む冷気は、既に師走の寒々しさと忙しない雰囲気を運んできていた。

何か秋らしいもの見つけたっけ?

よーく振り返れば、夕方に吹く風の香りだとか、近所の家の花壇に咲いた白色の彼岸花だとか、はたまた中秋の名月にちなんだお月見バーガーとか、秋を印象付けるものとはいくつも遭遇していた。ただ何だろう。『夏の猛暑』や『冬将軍』といった文字でも音でも肌感覚でも、ダイレクトにその季節を感じて過ごす期間があまりにも短かったように感じる。秋がどんどん小さくなっている。

クローゼットの中を確認すると、Tシャツやタンクトップ、薄手の布地のカーディガンから、厚手のコート、ストール、裏起毛のついたスウェットがぎゅうぎゅう詰めに入っていた。衣替えをする時、既に秋を意識していない。夏用の薄い服から真冬の分厚い洋服に一気に交換していて、こうした何気ない生活習慣の中でさえも、秋の存在を忘れる瞬間が増えている。

いつか遠くない未来で、秋の概念が無くなって「四季」という言葉も使われなくなるかもしれない。そんな「もしも」を想像すると、特に大切にも思っていなかった物をうっかり無くした後に生じる、ぽっかりと空いた喪失感と後悔の感情が湧き上がってくる。


ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた


童謡の唄声がいつになく切なく聞こえる。





 
 
 

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