top of page
検索
執筆者の写真ユウキ サクタ

『月の色彩』

この時期になると、日常のちょっとした光景の中に兎と黄色い月を組み合わせた絵を見つけることが増えていく。スーパーのお菓子コーナーはもちろんのこと、商店街の飾り付けや飲食のチェーン店でもお月見にちなんだ期間限定商品が毎年登場している。

月といえば黄色、このイメージは幼い頃から定着していて、古く変色した落書きを見返すとどれも黄色い満月や三日月があった。小学校の宿題で出された月の観察日記の箇所に、茶色と黄色の色鉛筆とで着彩したが、それが本当の色彩とは限らないと気づくのはもっと知識を得てからのこと。太陽と違い肉眼で長時間、直接じっと見つめることができる遠くて近い天体。いつ見ても、どれだけ科学的情報が更新されても、暖色系の黄色をベースにした印象の刷り込みは、私の中に留まり続けている。

世界的な月の色彩の認識はシルバーらしい。着彩する時は白色が多く使われる。「黄色」と捉えるのは日本人独特の感覚のようで、ハンバーガーの中に目玉焼きをトッピングすれば月見バーガーになる発想は此処から来ている。(海外に月見バーガーはないのだろうか?‘お月見’は確かに日本の言葉だけど、それに該当する概念や言葉は世界中にあるのではないか。月見◯◯なんて翻訳できる伝統料理や限定商品があるかもしれない。)

兎の正体は月の海と呼ばれている地形で、晴れの海や雨の海、豊かの海、危難の海などいろんな海の名前がついている。本当に晴れていたり雨が降ったりしているわけではないのに、この名前が付けられているのは何故なのだろう。「海」の定義が地球と月とで変わるところも面白い。地球では海水、月では凹凸の少ない広々とした大地。月の海は兎以外にも、蟹や女性、ライオン、ロバなどあらゆるものに擬態する。いや、擬態させられていると言ったほうが正しいのかも。海の色は焦茶色か灰色のイメージ。黄色とのコントラストが映える色。此処にも文化的、地域的な輪郭線の違いが浮き彫りになっている。


今年の十五夜、中秋の名月は9月17日だそうです。




閲覧数:3回0件のコメント

最新記事

すべて表示

『ぽっこん遊び』

「ぽっこん」という響きで懐かしさを覚える人はどれくらいいますか? 小学生の頃に流行っていた遊びについていろいろ話す中、相方が「ぽっこん」について熱く語っていた。 20年以上前、学校給食で提供されていた牛乳瓶の蓋がまだ紙製だった頃、この蓋を使ったちょっと変わった遊び風景があっ...

Comments


記事: Blog2_Post
bottom of page