先日、GARNET CROWファンの間で聖地とされている居酒屋さんへ行ってきた。京阪天満橋駅から府道30号線の上り坂を南東に向かってひたすら歩き、阪神高速道路の死を通る中央大通を右折、高層ビルから哀愁漂う古くこじんまりした建物に景色が変わったところで、目的地『和鮮酒庵 やなぎ』が見えてきた。
一階のみが木造の外観、丈の短めな暖簾にもお店の名前が手書きで書かれ、扉には色違いのステッカーが謎の隊列で貼られている。お店の前には焼酎や日本酒の酒瓶が仲良く並んでいて、ここがちゃんと居酒屋であることを発信していた。
「あ!あったー!!」
入って左側の壁面に、かつてボーカルさんが書いた大きなサインが残っている。2013年6月9日の記録だが、10年以上経過しても色褪せている印象も無く、筆跡の勢いや壁のでこぼこで掠れた字体など、たった今手が離れたような臨場感を感じた。
オタクフィルターによる補正がかかっているでしょうか……?
サインの目の前にあった二人掛けのテーブル席を陣取って、11年前の6月9日に思いを馳せる。ボーカルさんはどんな気持ちで此処に座って、この壁に後に聖地認定されるような足跡を残してくれたのだろう?ファイナルライブのディスクは持っているが、編集上収録されなかったシーンやライブの表情があるはず。あの頃は生配信とか言った文明の利器はあったっけ?……あったとしても当時の実家のネット環境は陸の孤島だったし、どちらにしても諦めるしかなかったかもしれない。
熱いおしぼりとお冷やの寒暖差で、感傷から現実の居酒屋空間に戻ってくる。鰻の寝床スタイルの店内には奥の座敷と手前の私達が座る二人掛けテーブル、そしてカウンター席。時刻が夜を更新していくにつれてお客さんが増えていったが、BGMをラジオからGARNET CROW曲集に変更してもらえた。何も言わずとも店主さんが慣れた様子で音響を操作していた。多分私と同じような人が頻繁にこのテーブルに座り込むのだろう。一人でお店を切り盛りしていたためゆっくりお話することはできなかったが、帰りがけにボーカルさんと店主さんのツーショット写真を見せてくれた。
「あのサイン書いてもらった時のものです。楽しそうにお過ごしでしたよ。」
流石に写真を撮影することは憚られたので、じっくり拝見させていただきました。
和鮮酒庵と銘打つだけあって、おばんざい・お刺身、天ぷら、揚げ物など、お酒の肴になる料理がてんこ盛り。お魚は旬なものを揃えるため季節によって変わるのだそう。個人的におばんざい料理の加賀太きゅうりが予想外の大きさとお洒落な盛り付けで素敵でした。
通い詰めていつか『百年の孤独』焼酎を呑みたい——ファン友達には分かる目標を掲げておく。
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