バレンタインデーに水を差す話を考えている。
本来バレンタインデーとは、キリスト教圏において毎年2月14日と定められている祝日。一般的に家族へ贈り物をするのが慣わしだそう。
どこにもチョコレートの要素は無いじゃないか。
バレンタインの語源になったヴァレンティヌスは、ローマ帝国時代のキリスト教司祭。兵士の婚姻禁止を定めた皇帝に逆らい、密かに兵士達のために結婚式を行ったことがばれ、最終的に処刑されてしまう。処刑された日が2月14日というのは有名な話。ヴァレンティヌスは殉教し、その後は恋人達の守護聖人となって崇拝されている。なかなかに血みどろな歴史が起源だった。
初めてこの歴史を知った時、どんな経緯を辿って非キリスト教圏の国でチョコレート祭りの代名詞になってしまったんだろうと疑問符が浮かんだ。(敢えて“なってしまった”と記すが、決してマイナス思考ではない。)
少し調べてみると、日本では戦後に来日した外国人から伝わり、製菓業界が販売促進の為にバレンタインデーの普及が試みられた。その甲斐あって1970年代後半には「女性が意中の男性へ恋を告白するためにチョコレートを贈る」習慣がすっかり定着したらしい。今でも1月下旬あたりから、百貨店やショッピングモールで大規模なチョコレートの祭典が開催されている。もはやこの時期の風物詩と言って良い。ちなみに西洋でも恋人や思い人に贈ることはあるが、チョコに限定しているわけでも、バレンタインデーだけにこだわっているわけでもない。恋愛を発展させる手段として、この祝日はそれほど重要視されていないようだ。
陽気なイベントとしての側面から距離をとって、暗い歴史の負の部分に思いを馳せながらブラックチョコレートをいただくことにする。
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