節分――その文字の通り季節を分けるという意味があり、立春・立夏・立秋・立冬の前日が節分となっているそうだ。つまり節分は一年で4回あるということ。でも節分と言えば立春の前日、2月3日だけ大きく取り上げられている気がする(今年は太陽暦の関係で2月2日)。二十四節気で捉えると立春は一年の最初の日となり、その前日の節分は大晦日、一年の締め括りの日になる。一年最後の日となると、やはり特別感がでますよね。その名残が、今日の豆まきイベントや恵方巻きの盛り上がりに取って変わっているのかもしれない。我が家も鬼の面に豆と恵方巻きを揃えて、季節の行事をささやかに楽しんだ。
節分にまつわる『節分の鬼』というお話がある。岩手県に伝わる昔話。妻子に先立たれたおじいさんがある年の節分の夜、寂しさに耐えきれず、やけになってわざとあべこべに「鬼は内、福は外!」と叫びながら豆をまいた。するとその声を聞きつけた節分の鬼たちが大喜びでぞろぞろと集まってきて、おじいさんの家で大宴会が開かれた。久しぶりの客人と賑やかな雰囲気で、最初は驚いていたおじいさんもめいっぱい楽しんだ。夜が明けると鬼たちは「また来年も来る。」と約束して帰っていった。春を迎え、おじいさんは鬼達との約束を守るため長生きするよと、晴れ晴れした顔でお墓で眠る妻子に話していた。
本来節分の『鬼』は、疫病や災厄などを象徴しているが、このお話ではそこから切り離されて『豆に追われておじいさんと宴会を開いた鬼』という、具体的で個性のある鬼が登場している。また、福の神が出てこないのも印象的だった。おじいさんにとってこの鬼達は疫病や災厄ではなく、ひとりぼっちから救い出してくれた、そして楽しい時間を一緒に作って過ごした存在。ある意味で福の神だったのではないか。子ども心に、鬼なのか福の神なのかは人によって捉え方が変わるものなんだ、と感じた物語。鬼達が雪の中はるばるやってくる描写や、お別れしてからすぐに春の景色となったことから、このお話でも立春の前日の節分なのだろう。
この時期に読みたくなるお話です。

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