top of page

『ビールの沼』

我が家にはクラフトビールサーバーなるものがある。月に一度、全国津々浦々のブルワリーオリジナルブランドのビールを2種類注文し、サーバーにセットして酒場さながらにビールをグラスに注ぎ、晩酌を楽しむのが日課となっている。全国のクラフトビールを家庭で味わおう!をモットーに始まった、...

『乾杯スタイル』

お酒を交わす飲み会の場では様々なマナーが存在する。地域ごとでも特色が出るのだから、国が変わればさらに違いが際立つもの。 縁あって、台北市に新しくオープンしたギャラリーのグループ展に参加した。この機会に台湾への初旅も大急ぎに計画し、実に三年半ぶりの海外旅行を楽しんだ。...

『百薬の長』

タコハイにはまりました。 ‘酒場で愛される’をキャッチコピーに販売されているこちらの商品。普段飲み会で飲むお酒といえば、果実酒やフルーツ酎ハイが多く、少し背伸びしてハイボールや日本酒を選ぶというのが定番だった。一方タコハイはアルバイト先の居酒屋でも見かけた事が無いのだが、お...

『毒味を欲する』

個展に向けての制作がいよいよ大詰めになってきて、最近は飴玉やガムをお口のお友として制作中に食している。切羽詰まった状況では、レモン味やみかん、サイダーなど舌先をシュワシュワと刺激する味が恋しくなります。 スーパーの食品売り場を観察していると、一つの商品についてさまざまな味が...

『地域の音〜踏切編〜』

展覧会のご縁でおよそ3年半ぶりに東京へ行った。今回赴いた場所は、品川から天王洲辺りのエリアで海風や港独特の音と匂いが感じられ、ステレオタイプの東京とは少し趣きの異なる印象だった。おかずをぎゅうぎゅうに詰め込んだ海苔弁当のような高層ビル景色だけではなく、歴史のある商店街、築数...

『流行』

先日相方と久々にカラオケを楽しんだ。お互い最推しのバンドや懐かしい曲など、いろんな音楽を交互に熱唱し日頃のストレスや鬱憤を晴らしたのだが、相方が選曲した歌の中にASIAN KUNG-FU GENERATIONの『リライト』があった。...

『真っ白な拘束具』

大寒波が日本列島を覆い尽くした日のこと。京都市内の自宅もアトリエも、強風が連れてくる冷たい塊をダイレクトに受けて、あっという間に真っ白な拘束具を取り付けられてしまった。綿帽子、雪化粧、白銀などと優雅な比喩が沢山あるが、風と降雪と積雪による激しい軋み音がアトリエの窓や天井から...

『お馴染みドライバー』

アトリエから仕事場へ向かう時、おおよそ15:10の時刻に国道171号線と合流する勝竜寺信号交差点に差し掛かる。此処を右折してひたすら直進するのが毎度の通勤ルート。 出勤の度に同じ道を使っていれば、密かにお馴染みの車やバイクを見かけることが多くなる。ヤマザキパンの運送トラック...

『七草の人』

晴れて新年を迎えて10日以上が経過した。この期間でも出会った人々やお別れした人々は沢山いて、たった一度の偶然の出会いが、ささやかに私の生活へ影響を与えている事もある。 作品制作の息抜きに、アトリエの近所を散歩していた時のこと。この日はいつもの桂川土手沿いではなく、京阪淀駅あ...

『能天気な顔で』

足元をシャカシャカと賑やかしていた落ち葉もいつの間にか地面に溶けていき、残された2022年の時間もわずかであることを知らせている。この時期はより一層、‘ジャネーの法則’がひしひしと感じられて自分の生きてきた時間の長さを実感する。 「チーズケーキをホールでガツガツ食べたい!」...

『泣きっ面に蜂な日』

料理の本などで、蜂蜜を使ったレシピをよく見かける。一人暮らしを始めるまで、蜂蜜の役割はホットケーキの上にかける飾りつけだけというイメージだったが、カレーの隠し味や塊肉の漬け込みの調味料など様々な用途があることを知った。糖分の他ビタミンやミネラルを含み、疲労回復・腸内環境を整...

『諺いっぱい』

北方ルネサンスを代表する画家ピーテル・ブリューゲルの代表作『ネーデルラントの諺』は、46×64インチのそれなりに大きな画面上に、ぎゅうぎゅうと大勢の村人達が描かれている。 当時のネーデルラント地域の小さな村での日常生活をモチーフにしているが、タイトルにもあるように人々は諺の...

『それぞれに価値あるもの』

猫に小判、豚に真珠、馬の耳に念仏、兎に祭文——たとえ値打ちのあるものでも、その価値を理解していない者に与えても無駄であることの例えとして、どれも古くから使われている表現だ。そして相手やその場にいない第三者を見下すニュアンスが含まれていることが多い。...

『幸運の象徴』

思いがけず幸運が舞い降りてくる状況を、「棚からぼたもち」という諺で表現する。幼い頃は小豆が苦手で、それをふんだんに使ったぼた餅を幸運に見立てている諺に全く共感できなかった。月日の経過とともにいつの間にか小豆も食べられるようになり、今や大好物の一つになっている和菓子だが、ちょ...

『原点回帰』

アトリエを片付けていた時、ドローイングボックスからぼろぼろに古びた作品が出てきた。2004年1・2月用の縦長カレンダーの裏面にびっしりとうさぎ、ウサギ、兎……。 2004年といえば小学4年生くらいだったか?うさぎは子どもの頃によく描いていたモチーフだ。耳が長いという特徴的な...

『恐怖心と高揚感』

単体では何も感じさせないのに、無数に集まることで異様な心理的影響を及ぼすものがある。 足元が賑やかになる季節がやってきました。 自然が生い茂る森に行かずとも、近所の公園、街路樹や庭先の小さな木々さえも、着飾っては落とし着飾っては落としを繰り返し、地面いっぱいにカラフルな葉っ...

『意思を持つゴーレム』

スタジオハイデンバンの向かい側の道沿いに、更地なのか誰かの所有地なのか不明な鬱蒼と雑草の茂っている土地がある。その土地のちょうど真ん中あたりには、もこもこと木が生えていて幹が全く見えないくらい、通常よりも大きめな葉っぱが無造作に覆いかぶさっている。この場所だけぽっかりと、時...

『牧場の蒐集家』

牧場の朝ヨーグルトのパッケージ裏に、イメージキャラクターの牛たちがデザインされているのをご存知だろうか? つくってあそぼ!をキャッチフレーズに、幼い年齢のお客さんたちの心を鷲掴みするために仕組まれたであろう工作用付録だが、SNSを見てみると、意外にも社会の荒野を耕す経験を積...

『ゴットハルト鉄道』

先日名古屋で開催した個展が無事に終了しました。仕事との関係もあり、期間中は何度か京都と名古屋を行ったり来たりしていたが、次の制作への課題が見えて収穫の多い展覧会となった。 さて、ギャラリーにて在廊していた時のことだ。 お客さんとの会話の中で、多和田葉子さんという小説家の名前...

『忘れられた巨人』

カズオ・イシグロさんの小説「忘れられた巨人」には、‘お姫様’が登場する。このお姫様は、華やかなドレスも高価な宝石も持っていない。村に迷い込んだ旅人を丁寧にもてなしたり、かと思えば持ち前の勝ち気な性格で蝋燭の灯りを求め村人と少々揉めたり、自ら旅の道先を歩んでいったり、かなりお...

エッセイ: Blog2
bottom of page