『クラフト時間』
- ユウキ サクタ
- 2023年7月9日
- 読了時間: 2分
先日神戸へお出かけした折り、三宮駅近くのクラフトビールバーVALLE SAGRADOに立ち寄った。3月に個展を開催したギャラリーからも徒歩圏内にあり、それなりに街並みの雰囲気を掴んでいたはずだったが、グーグルマップを頼りに歩き目の前にお店の看板がドンッと現れた瞬間は、全く知らない場所へテレポートしたような錯覚を味わった。
開店と同時にお店に入る。カウンター席と座席が高めのテーブル席が複数。黄色と灰色の印象が強いこじんまりとした空間はビール樽の中を彷彿とさせる。壁に掛けられた黒板に手書きのビールメニューが書かれていて、まずその値段に眼球が思わず一回転した。
「……高くないか?」
「基本的にクラフトビールって割高やけど……此処はさらに高めやな。」
クラフトと名のつくだけあって醸造過程や素材にかなりこだわっているのだろう。スーパーで手に入る缶ビール6本セットの価格を想像していたら、呑む前に足元を掬われ二日酔いの気分になるかもしれない。お財布の懐が温かいタイミングで行くのがお勧め。モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の過程とざっくり似ている気がするのはあながち間違いではないはず。
「FOUNDERSのCBSは2019年に廃盤になってしまったんです。店にあるのは5年間熟成させたものでもはや幻のビールですね。コーヒーとチョコとメープルの入ったスタウトでめちゃくちゃ美味しいです。ガツンときます。」
丸みを帯びたグラスに注がれたビールは想像以上に真っ黒だった。水面からほろ苦さと甘い香りが立ちのぼり、お気に入りのマンデリン珈琲豆にも引けを取らない。ワインのよう、ザッハトルテのよう、如何ようにも形容できそうで難しい。ビールと言えばぐいっと口の中いっぱいに含んで体内に流し込むのがステレオタイプだが、アルコール度数11%越えのビールにこの呑み方はふさわしくない。
ひと口呑んで、一旦休む。道中のパン屋で買ったブルーベリータルトをフードペアリングに、また一口呑む。グラス一杯のビールを呑み終えるのにこれほど時間をかけたのは初めてだった。(CBSビールの前に他のIPAビールも呑んでいた)おかげで2時間近くバーに滞在し、普段の暮らしとは一線を画す空気感をじっくりと感じた。
VALLE SAGRADOには持ち帰りできる缶ビールも豊富に常備されている。おつまみも提供しているが外からの料理も持ち込みOKとのこと。近所のピザ屋やカフェ、中華料理屋でテイクアウトしてビールと一緒にいただくことも可能。地域発展の一つの方法ですね。

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