『'活'の効果』
- ユウキ サクタ
- 2023年5月7日
- 読了時間: 2分
先週のゴールデンウィークに、GARNET CROWのイベントで大阪のhills パン工場ライブハウスへ行ってきた。今年はバンドが解散してちょうど10年。10という一区切りの期間、この時間を振り返ってみると自分の生活スタイルや環境の変化はもちろん、社会全体の雰囲気や在るもの無いもの、新しくできたものと失ったものなど、「あっという間」と一言で片付けるには難しい変遷があるように思う。
流行り言葉もその一つ。毎年その年の流行語大賞が発表されるように、目まぐるしく言葉の黎明・全盛・終焉を繰り返している。
今回私が楽しんだイベントは、所謂『推し活』と表現される。推し、つまり自分の好きなもの・人を応援したり楽しむ活動全般を指す。映画や舞台を見にいったり試合観戦やライブ鑑賞などが想像しやすい定番の活動だろうか。
さて、この言葉はいつから登場したのか?小学校、中学校時代を見直してみてもそんな言葉はとんと聞かなかったし、大学生の頃を思い返しても漫画やアニメオタクの友人は沢山いたが、その単語が飛び交った記憶がない。『推し活』に限らず、就活・婚活・終活・保活・転活・菌活・恋活・朝活・腸活・温活・眠活……一度聞いただけでは全く想像できない名称もあり、パパ活・ママ活といった社会問題すらこうした括られ方をする。
元々『活』は、気を失った人の息を吹き返らせる方法のことで、よく表現される『活を入れる』もこの漢字を使うのが正しい。
普段の生活にも「活」が入りますね。なるほど、ストレス社会と風刺される今の世界、私達は常に気を失っているということか。「かつ」の音は自発的な、明確な意思を持って動いているような響きを感じる。この言葉の持つ音源効果を自身に投げかける事で心と身体のスイッチが入るのなら、こうした簡潔で心強い変化形単語は貴重ではないか。(もちろん社会問題を軽く捉えてしまうニュアンスを含む、という懸念はあるだろうがそれはそれとして。)
言語の音楽が持つ独特な効果を求めて日々新しい言葉が生まれている。初聞きの単語を耳にする度、そんな気がしてならない。

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