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『虹の象徴』

  • 執筆者の写真: ユウキ サクタ
    ユウキ サクタ
  • 2023年6月9日
  • 読了時間: 2分

景色を眺めて見つけたら、必ずカメラレンズを向けたくなる気象現象。

虹は古来より神聖視される事が多く、日本神話でもイザナギ・イザナミの二柱の神が天浮橋と呼ばれる橋に立ち、天沼矛で混沌とした大地を掻き回したとされる。この天浮橋が虹だという。

またギリシア神話の世界では、虹そのものがイリスという伝令役を務める女神として登場する。橋に例えられるのは孤を描く見た目からなんとなく理解できるが、言伝を託されるメッセンジャーの象徴とされているのは興味深い。他にも地域によっては蛇や弓に見立てられ、いずれも神の化身だったり重要な持ち物だったりする。とはいえ現在において虹は、空気中の水滴によって太陽光が屈折・反射して生じるれっきとした科学現象。橋のように渡ることもできないし伝書鳩のような役目も持っていない。夢を崩すようだが、触ることも一部を持ち帰ることもできない。

さて科学よりも宗教やシャーマニズムが重要視されていた時代、頻繁に出現するわけでもなく、でも鮮やかに空を飾りたてほんの少し目を離した隙に儚く消えていくものを、人々は人知を超えた畏怖や幸運をもたらす対象として捉えてきた。

ずっと以前、大雨の後にダブルレインボーを発見したことがある。名前のとおり虹が二輪架かっていて単体よりさらに出現頻度が稀なことから、吉兆の印や幸福の予告として伝えられている。雷鳴で震えていた空が一気に明るくなり灰色の裂け目から日光が照りつけてきた。西陽を背に周囲を見渡した時、古い小さな木造建築から二つの虹が真上に向かって伸びていた。この環っかの全体像を想定してみると、とてつもなく巨大な円が大地に突き刺さっている図像が浮かんだ。

素敵な伝承が多い虹に対して、この時は初めて恐怖を感じた。直後また雲行きが怪しくなり明度が急激に下がったと気づいた途端、海をひっくり返したような雷雨に見舞われた。直感的に抱いた恐怖は的外れではなかった。古代の日本では虹を異形な霊、即ち不吉な象徴として認識していた時代があったらしい。DNAに刷り込まれた古い国土の文化がたまたま作用したのだろうか?

その後も片手で数えられるくらいの虹を発見したが、怖い虹はこの一回きりだ。せっかくの貴重なダブルレインボー発見は少し苦い思い出となっている。




 
 
 

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