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執筆者の写真ユウキ サクタ

『遠くの親戚より、近くの他人』

最近、朝ジョギングを始めました。

早朝に大量の汗をかくほど運動するのは何年ぶりだろうか?←多分中学校以来だ。

これのために某スポーツブランドのシャツや帽子を買い、ジョギングタイツなる物にまで手を出したのだから続けないわけにはいかない。

夏至を通り過ぎ、今後は秋分・冬至に向けて徐々に日が短くなるんだよなあ。

が、その風情を感じる前に本格的な京都の夏がヒタヒタヒタと忍び寄ってくる。今の部屋はクーラーがないから、せめて言葉だけでもレイキを感じておきたいものだ。

近所の淀城跡公園。朝の空気は黄色と緑で瞬いて、紫陽花がそのスポットライトを浴びていた。息を弾ませ、気分が気温に合わせて高揚していく。

いつもは桂川沿いの土手を走っていたが、この日は別ルートを開拓してみようと思い、地理感覚も曖昧なまま淀城跡公園も飛び出した。目の前に続く道なりにタッタッタッタと駆け抜けてゆく。

今日は特に調子が良いぞ。

商店街、住宅街、登り坂、下り坂——初めて見る光景でありながら、どこか懐かしさも感じる雰囲気。前方から自転車に乗ったご夫婦が「おはようございます。」と、すれ違い際に挨拶。私もハイテンションで挨拶を返す。

やがて田んぼや畑が広がる地帯に出た。

…………お腹痛い。

建物が何にも見えなくなったタイミングで、まさかの腹痛が襲いかかってきた。

こんなことってある?!

先程までのワクワク感はシャットアウト。此処が何処なのか分からない不安に、見知らぬ場所に放り込まれた子猫のような気持ちになっていた。暑さと腹痛と位置情報皆無のトリプルパンチ。コンビニすらも見当たらず、とにかく大通りを目指そうとゆっくりと歩いていった。刺すほどの暑い日差しは公園で感じた色彩と同じはずなのに……。

やがて大きな工場と小さな建物が見え、藁にもすがる思いで自動ドアを潜った。

「ちょっとお手洗い貸してください……!」



「大丈夫でしたか?」

「はい…おかげさまで。」

なんとか体調は回復した。駆け込んだ場所は介護施設。朝の業務を忙しなくこなすスタッフさん達は、嫌な顔一つせずに快く受け入れてくれた。(お決まりの検温をおでこでばっちり測定された。)

「お気をつけて。いってらっしゃい。」

帰り際もにこやかに送り出してもらった。誰かに見送られるのは久しぶりだった。

「ありがとうございました。」

直角に何度も頭を垂れて施設を後にした。

今、すぐ近くに家族はいない。

でも、すぐ近くに必ず誰かがいる。

他人を頼るのも心強いなと感じた。

このジョギングルートをちゃんと覚えておこう。また親切なスタッフさん達と、自転車のご夫婦とすれ違うことがあるかもしれない。

……あとは、きちんと体調管理をしておこう。

日差しは暑さから温もりに変わっていた。




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