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『連想旅散歩』

  • 執筆者の写真: ユウキ サクタ
    ユウキ サクタ
  • 11月10日
  • 読了時間: 2分

いつのまにか金木犀が見頃をむかえる時期になった。家の近所や駅からアトリエへ向かう僅かな道のりにほんのり甘く澄んだ香りが漂っていて、その香りの源泉には、カールされた葉っぱで着飾った小さな橙色の花の集合体が佇んでいる。

こじんまりとした一軒家の庭先や公園の片隅など、意識して観察してみると至る所で金木犀の木が植生されていた。意外にも金木犀は日本国内で自然分布していない。中国原産の常緑小高木樹で、江戸時代に渡来し挿し木法で全国に広まったとされる。つまり身近にいる金木犀は人々の意思によって其処に根を張り、花を咲かせているわけだ。

種は実らないのか?

ちょっと調べてみると金木犀は雌雄異株植物であるが、江戸時代当時、日本へは花付きの綺麗な雄株のみが輸入されたため、現代に至るまで国内には雌株が存在していないそうだ。「挿し木」という人工無性繁殖法は、いわば本体のクローンを増産しているようなものなのだろうか。ただし、一般的に定義されているクローンと一線を画す現象がある。

若返り現象。

不老不死を夢見る人類が飛びつきそうな現象だ。

例えば、樹齢数百年経過している木の枝を使って挿し木する。やがて親株が老衰で寿命を迎えても、挿し木された苗はその後も数百年生き続けることができる。さらに生長した苗から挿し木して、その挿し木が生長したらさらに挿し木……、この繰り返しを経ることで延命を続けるのが可能になる。挿し木以外でも葉・茎・根などの栄養期間の一部を利用した栄養繁殖でもこうした現象が見られるらしい。200年以上昔の人が見ていたものと全く同じ遺伝子個体の金木犀を、私達も眺めていることになる。

秋が深くなるこの季節。当時の人々も甘みのある香りに絆されながら、家路を急いだのか。香りの主成分はβ-イオノン、リナロール、γ-デカラクトン、リナロールオキシドetc……化学分野はさっぱりですが取り敢えず芳香成分です。

金木犀は沈丁花、山梔子とともに日本の三大芳香木と位置付けられている。ご近所の金木犀を眺めながら、歴史や科学への旅散歩にトリップした。


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