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執筆者の写真ユウキ サクタ

『定点観測』

今朝、自宅の部屋の窓から、外の景色をじっくり見てみた。毎朝起床して真っ先に窓を開ける。東向きの窓からは、1日の始まりを知らせる直射日光が熱を帯びて飛び込んでくる。あまりの暑苦しさに目覚まし時計が鳴るよりも、この日差しで叩き起こされた。寝起きの瞼を擦って天気を確認、今日も今日とて猛暑の予感。その後部屋を出て洗面所へ向かう。このルーティン中で、寝ぼけ眼とはいえ確実に窓からの変わらない景色を眺めている。毎朝同じものを視界に捉えていたはず。それでも今日は、限られた枠の中からいろいろなものを発見した。

築年数がかなり経過していそうな古い木造平屋に、ソーラーパネルが付いていた。

向かいのマンション屋上に、謎の長いアンテナが設置されていた。

真向かいの屋根瓦の片隅に、つばめの巣があった。もう既に空き家になっていたが、また来年も戻ってくるだろうか?

左側にあるマンションのデザインが途中の階から変わっていた。ひょっとしたら増築したのかも?

ベランダ出てすぐの工場の機械置き場の上に、錆びついた脚立が置かれていた。まだ使えるだろうか?


視力は裸眼で左右1.5ずつあるのが自慢だったが、これだけのものを見落としていた事にちょっと気恥ずかしい気分になる。

6畳空間で完結する室内には、ベッドと小さな手製のテーブルと化粧箱しかなく、あとは読書途中の小説や詩集、文庫本が布団の周りに散らかっている。

自分の好きなものがいっぱいの閉じられた空間も好きだが、日によって表情を変える空を背景に、自分の意志が全く反映されていない外の空間を心ゆくまで眺めるのも有意義なひととき。

好きなもので満たされた空間といえば、作家のアトリエはその代表格。そんなお気に入り場所での制作中も、やはり息詰まってくる瞬間がある。ちょっと桂川沿いの土手をてくてく歩いて気分転換する。

今日の窓からの定点観測は、お散歩中の時と同じ感覚を抱いていた。




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