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執筆者の写真ユウキ サクタ

『お寝坊できる』

毎朝、目覚まし時計は7時にセットしている。とはいうものの、なかなかきっちりと起きられることは少ない。

6日の朝。目が覚めたのは9時近い時刻だった。……アラームセットし忘れてた?止めた記憶が全くなかった。

9日の朝。暑さでアラーム前に目が覚めた。朝食後、机に向かってドローイングをしながら眠気が襲ってくる。少しだけ昼寝をした。

15日の朝。窓からの朝日が強烈に眩しい。日焼けしたくないなあ…と、ぼやきながら布団を片付け、カーテンを引いて二度寝をした。

夏本番の暑さに一喜一憂する日々。この時期は、いつも祖父母宅で盆の御勤めを一緒にしたり、畑で採れたスイカをみんなでかぶり付いたりする。

ふと、ひとりっきりで8月を過ごすのは初めてであることに気づく。(ただいまシェアハウス住まいのため完全に一人ってことはないのだが。)

8月の6日、9日、15日の3日間は一定の時刻に黙祷をしているのだが、今年は大遅刻してしまい、お昼過ぎに黙祷した日もあった。目を閉じ、手を合わせ、頭を垂れながら静かに祈りを込める。

——今日ものんびりお寝坊できました。

今から75年前、寝坊や昼寝なんて悠長なことができない時代があった。その時代を生きた人の話は平和学習や本などで幼い頃から身近にあったが、記憶を受け取る度に、自分の中でもやはり少しずつ遠い過去のお話になってゆく感覚がある。

記憶は簡単に変わってしまう。変えてはいけない記憶もあるのに……。

次世代に伝えてゆくことは大切だが、身を以て経験した人の言葉と、例えば伝聞しただけの私の言葉とではやはり重みが異なる。

寝坊と昼寝ができること。今や当たり前な習慣の一つが、どれほど大切で愛おしいものなのか。戦争体験などとは比べ物にならない単純な事柄だが、これだけは自信を持って言える気がする。

世界中の皆でお寝坊できますように。

今日も扇風機に当たり茣蓙の上に寝そべりながら、何度目かの昼寝をした。




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