4月1日に河原町にある丸善書店で本をまとめ買いした時、ちょうどイベント期間中だったようでスクラッチくじを引いた。
こういったくじ運は昔から悪く、大抵ハズレや参加賞などおまけの景品を貰うことが多かった。
——のだが。
「わあ!おめでとうございます。A賞です!!」
なんとワイヤレスイヤホンが当たった。しかもキャンペーンの中で最もレアな賞品だったらしい。
「A賞はなかなか出なかったんですよ。」
イヤホンを届けてくれた店員さんも普段より軽やかな口調で語っていた。きっとこれが彼女の素の顔なのかもしれない。店舗の規模がくじの当たり確率に影響する事などない、つまり’忖度’は存在しないって事ですね。
(ちなみにこの日は誕生日でした。思いがけず追加で誕生日プレゼントを貰った気分。)
『新生活は本を聴いて読もう』というコンセプトで開催していた今回のスクラッチくじイベント。最近は本の朗読音源などもサブスクリプションが登場し、アプリなどでダウンロードできるらしく、音楽を楽しむような感覚で読書時間を過ごせる。電車の中や街中の歩行者、大学のアトリエでもハイデンバンでも、耳にイヤホンをつけている人はとても多い。
初めて’ウォークマンにイヤホン’という組み合わせを身に付けたのは、まんまる顔な高校2年生の冬頃だった。見慣れた通学路の風景にお気に入りの音楽が絡みつくように流れてきて、オリジナルのミュージックビデオを鑑賞しているような、摩訶不思議な感覚だった。当時ウォークマンに登録していた音楽はCDで何度も何度も聴いた曲ばかりなのに、初めて認識した楽器音やリズムがあったり、曲の印象がよりダイナミックで臨場感溢れていたり、これがイヤホン所有者の特権なのか!とウォークマンではなくイヤホンのほうに感激したのを覚えている。また、周囲の人と同じ空間・景色を眺めていながら、耳からは全く違う音情報を受け取っている事にも奇妙な気持ちを抱いた。
そんな上京したての田舎っ子のような新鮮な思いから10年余を経て、今もイヤホンを使う機会はそれなりにある。ただ、高校生の頃と比べると使用する頻度はかなり減っていて、電車でのお伴くらいだ。
アトリエで一人閉じこもっての制作BGMや家で料理する時の音楽はスピーカーから流し、肌感覚で曲の振動を感じながら聴くのがお気に入り。
’ほっぺたで音楽を聴きたい’願望があるのです。(気持ちが分かる人はいるだろうか。)
せっかく当たったワイヤレスイヤホンも未だ開封されていない。今度散歩する時使ってみようと思う。
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