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執筆者の写真ユウキ サクタ

『雨ニモ負ケズ〜向日葵〜』

今年は例年よりも早く梅雨が到来し、大粒の雨が家に道路に草むらに、川面に街路樹に公園のベンチにも容赦なく降り注いでいる。

ハイデンバンも例外でなく、過去には雨漏りがしたり、屋根のトタン板が風雨で飛んでいき大惨事になったこともあるそうだ。改めて自然の脅威を思い知らされる出来事である。


去年に引き続き、私はハイデンバンの片隅で向日葵を育てている。種を蒔いたのは4月。ぴょこんと双葉が土の中から飛び出した姿は仔兎の耳のようで、このまますくすく大きくなーれと、わくわくしながら様子を見守った。


5月。バケツの水をひっくり返したような大雨が続いた。

雨上がりに様子を見ると、双葉から新たな葉っぱを幾重にも身につけ真っ直ぐ伸びていた向日葵は、無慈悲な雨粒と強風で薙ぎ倒されていた。

「そんなあ……。」

恵みの雨のはずが、植物の生長を妨げるなんて……。まだまだ線の細い頼りなげな茎では、持ち堪えられなかったようだ。

生えた雑草を虚しく抜き取る。

ふいに向日葵の葉に触れた。地面に這いつくばっている。でもよく見ると、葉は太陽の方角へ大きく腕を広げていた。それらを支える茎は、倒れた地点から再び起きあがろうと根を張っていた。

【雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ。】

そんな声が聞こえたのは気のせいではないと思う。

雑草を全て抜き取ってから、土を盛って茎がより安定するように手助けをした。

後日、30℃越えの晴れ空の下、日差しに向かって背筋をしゃんっと伸ばした向日葵の姿があった。

【雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ。】

またあの声が聞こえた。この向日葵なら大丈夫だ。


6月。本日も全国的に雨模様。今年の梅雨は激しいうえに長引くようで……。念の為、ただいま彼向日葵は屋根の下に避難させている。




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