‘初心者向け’という言葉を、鵜呑みにしてはいけない。
4月から朝の珈琲は、フレンチプレス器を使って淹れている。フランスで流行したからフレンチプレス、という語源の由来があるらしい。
この淹れ方の特長は、珈琲豆本来の味がストレートに出ること。ハンドドリップではフィルターなどに吸収されてしまう油分(コーヒーオイル)もしっかりと抽出されるため、香り豊か且つまろやかな風味の珈琲が出来上がる。
手順は至って簡単。粗挽き〜中挽きした珈琲豆をポットに入れ、沸騰したお湯を注ぎ蓋をする。4分ほど放置したのちプランジャーを押し下げ、抽出完了。カップに分けて、はい完成。
珈琲豆とお湯の分量を正確に測っておけば、淹れ手に関係無く同じ味が再現できる。複数のフレンチプレスを駆使して、珈琲の香味を比較するテイスティングにも最適なのだ。珈琲関連の本やwebページで調べても概ね似たような記事を見かける。
しかし、私の生まれ持った不器用で鈍臭い一面は此処でも発揮していた。
初めて淹れた時、ケトルで沸かしたお湯を使って抽出したのだが、早くプランジャーを押しすぎてしっかり抽出されなかった。また沸騰直後のお湯ではなかったため、さらに抽出する力が弱かったらしい。
再度チャレンジ。今度はケトルで沸かした後さらにIHでぼこぼこと沸騰させ、すぐに豆をセットしたポットに注いだ。きちんとタイマーも4分計りプランジャーを押すタイミングを待ち構える。計測終了の音が鳴りプランジャーを押し下げ、嬉々として出来上がった珈琲をマグカップに注いだ。前回よりしっかり抽出され、味も香も良い感じ。……だが、最後の一口を含んだ瞬間に違和感を抱いた。なんとカップの底に珈琲豆の粉が沈殿していた。ちゃんとプレスしたのにおかしいな。ガイドブックを読み直し、注意事項を確認する。
『フレンチプレスで淹れた珈琲は全部注がないようにしましょう!粉が紛れ込んで風味が変わってしまいます。』
これかー!!
そんなこんな紆余曲折を経て、今もフレンチプレス珈琲を練習中だ。回数を重ねたおかげでだんだん手際が良くなり、理想の珈琲に近づきつつある。
だけど、まだまだ人様におもてなしできる程に達していない。
何事も最初は難しいものだな、と感じる朝の珈琲タイム。
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