時折、制作中のBGMとしてSpotifyで音楽を聴いている。膨大な楽曲の中からこのアプリで専ら流しているのは、昭和を代表するアイドル松田聖子さんの歌。
何故に松田聖子さん?と疑問に思う方に説明しておくと、母親が小学校六年生からの聖子ファンで、私にとっても彼女の歌は幼少期から(もっと言えば母のお腹にいた時から)最も身近に流れていた音楽なのです。
Spotifyの便利なところは、無料プランでも音楽が聴き放題であること。もちろん途中でCMが入ったり、音質がプレミアムプランよりも劣っていたり(とのことだが、素人の耳には分からない)、シャッフル再生しかできないといった制限はあるが、それらを差し引いても充分なサービスだと思う。
先日思い立って、アプリで‘松田聖子’と検索をかけてみた。一瞬で実家にコレクションされているCDジャケットの画像がずらりと表示された。母が数十年かけて集めた楽曲が、掌に収まるiPhoneアプリの中に凝縮されている事に技術の発展をしみじみ感じ、同時にCDを買うためお店を梯子したり発売日をこまめにチェックしていた母の労力を思うと、複雑な苦笑いを浮かべてしまう。
制作中聴いている曲は、「上海ラヴソング」・「Call me」・「Sound of rain」・「強い向かい風の中で」・「You are the sunshine」等々……。
これらはさほど熱心なファンでなければ馴染みの無い曲だが、歌詞やメロディが私の幼く古い記憶にふわりとくっついている。確か2000年〜2005年あたりに発表されたアルバムに収録されていて、当時私は小学生だった。家でも車の中でもよく流れていた事と、自分の言葉の抽斗が増え、歌詞がある程度理解できるようになった事が、深く刷り込まれた理由かもしれない。
前奏がほんの少し流れただけで、「あの歌だ!」と当時の家の雰囲気や昔の車の匂いまで思い出す。(恥ずかしながら曲名までは覚えておらず、Spotifyで表示されてようやく覚えたものもあるが。)
久々に聴いた彼女の曲でより懐かしさを感じたのは、多くの人が知っている代表曲ではなく上記で並べた曲だった。
「コンサートでもこの年代の歌はあまり歌わへんなあ。」
「2000年代の歌ももっと評価されて良いと思うんだけど……。」
最後にコンサートへ出かけたのは2019年。コンサート終了後、母とこんな会話を交わした事もふと思い出した。
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