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『仕事人』

  • 執筆者の写真: ユウキ サクタ
    ユウキ サクタ
  • 2020年10月29日
  • 読了時間: 2分

樟葉モールへショッピングに出かけた。バイクで京都府外へと飛び出したのは、この時が初めて。ちなみに樟葉モールも初めて。

それはさておき、こうした大型ショッピングモール内へ入る前段階で、必ず待ち受ける試練がある。

「……駐車場の入り口どこ??」

複雑に京阪樟葉駅のロータリーや信号交差点が敷かれ、土地勘のない者は方向感覚すら掴めなくなる。グルグルとモールの城壁を見失わないように周回するのが精一杯。

週末はとにかく人が多い。

映画施設もあるだけに、家族向けワンボックスカーが前後左右に並んだ時は、謎の威圧感を感じた。こう言う時、身体が無防備に外へさらされている二輪車は不利なのだなあ。

何度目かの周回のタイミングで、車の誘導をしていた警備員のおじさんを見つけた。

「バイクはあの信号交差点を左に曲がって、右手のモール駐車場に止めてください。3時間までは無料ですからね。」

スラスラとテンプレート化された案内を頼りに、なんとか駐車することができた。これだけで体力は少し消費している。

モールへ入る前に、あの警備のおじさんに小さく会釈。気づいてもらえたか定かではないが、「いってらっしゃい〜。」と声をかけてもらった。

結局、4時間以上ショッピング(と言う名の散策)をしていて、外に出た時刻、景色は秋の夕暮れを呼び寄せていた。天気に恵まれた一日は、傾いたセピア色の光で飾られていた。

疲労もそろそろ限界…。一気に押し寄せた物品不足をまとめ買いし、両手に抱えてリュックに背負って、駐車場へと棒になった足を動かしていた。

夕方になってもモール駐車場に入ってくる車や、駅からなだれ込んでくる人混みは、途切れることがない。

続々と押し寄せる、はたまた中からビックリ箱のように溢れてくる人々を、記憶の小さな部分に残っている制服が、丁寧に整理しているのを見かけた。


あれ?昼間のおじさんだ。


駐車場への道案内をしてくれた、あの警備員さんだった。私が自分の買い物に全力投球で館内闊歩している間も、ずっと仕事を続けていたのだろうか??

秋晴れとは言え、冷え込みが激しくなってきてる空を背景にして、黙々と任務を遂行しているようだった。

「ありがとうございました〜。気をつけてお帰りくださーい。」

きっとあのおじさんからしたら、こちらは大勢いるお客さんの一人に過ぎないだろう。

まさか、行きも帰りも貴方のお世話になったとは……。

背後に天使の光輪と羽が見えた気がした。



 
 
 

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