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執筆者の写真ユウキ サクタ

『三重県の味』

新年明けましておめでとうございます。


2022年最初の旅先は三重県にある祖父母の家。

京都から近鉄特急に乗り、大和八木駅経由でおよそ2時間半。改修工事を経た桑名駅はJR線・近鉄線・養老鉄道・三岐鉄道北勢線への乗り換えがより分かりやすく、更にエレベーター・エスカレーター完備、時代を感じる地面の段差なども無くなり、改札口は心地よく風と光が吹き抜ける広々空間になっていた。

「よう来たなあ。」

2年ぶりに対面した祖母(あーちゃん)の白髪が更に増えていた。背中も小さく丸くなっていて、改めてあーちゃんに刻み込まれた時間の長さを実感した。

叔母の車がSUZUKIのコンパクトな新車に代わっていたり、祖父の視線が丸まった背中のおかげで私とほぼ変わらない高さまで低くなっていたり、お隣さんの家へ遊びに行く時の抜け道だった架け橋が撤去され通行止めになっていたり、記憶の家から少しずつ違っている部分があった。

とはいえ、住人の生活習慣や性格などはちっとも変わらないようで。

「今日はええ肉買っといたで炊いとくな。つゆも茹でといたで雑煮もできるし。あんたはきな粉が良かったか?冷蔵庫にいっぱい餅あるで好きなだけ食べ。みかん食べるか?よーけもろたで。前は新年のご挨拶でお客さん来とったけど、こげな時代やで来れへんやろ?饅頭やら茶菓子いっぱい余っとるで土産に持ってき。熱い茶飲むか?濃く出るでちょっと湯足した方がええか分からん。コーヒーの方が良かったか?白菜やら人参・葱も今年はようけ採れたわ。虫あんまついとらんとこ送ったるで料理の足しにしや。しっかしあんたよう来てくれたなあ。」

ノスタルジーに浸る間も無く、あーちゃんのマシンガントークが炸裂しましたよ。ここまでノンブレスなのが凄い。 


滞在最終日、あーちゃんの代表作『あじごはん』の作り方を教えてもらった。

いわゆる五目ご飯なのだが、あーちゃん特製’あじごはん’はささがきした人参が大量に使われているのが特徴。その他の具材は季節や畑の収穫野菜によって様々で、今回はしめじや椎茸、舞茸、かまぼこ、お揚げ、鶏肉等が入っていた。

以下レシピ内容。

1、お米を研いで冬場は1時間、夏場は30分程吸水させる。

2、その間に具材を炒める。だし汁が出てきたら具材と分ける。

3、吸水したお米にだし汁を入れて(その分水の量を減らす)、具材を入れて炊く。

「だし汁だけじゃ米に色付かんし味薄くなるでな、米1合ごとに砂糖やら醤油やら色々調味料小匙1くらい適当に入れるんや。あと時々スティックのほんだし1本使うかな。」

……なるほど。

あーちゃんが作るあじごはんは、同じ具材・同じ調味料であるにも関わらず『同じ味が二度と再現できない』というのが長年の謎だった。塩辛かったり甘かったり……とにかく振れ幅がすごいのです。

「グリンピース入れると色どり綺麗になるんやけど、あんたら嫌がるもんなあ。美味いのに。」

「豆は単体で食べたいわあ。」



今回のあじごはんは鶏肉と人参の甘味がバランス良く染み込んだ味。懐かしい定番の三重県の味だった。(あくまで個人の感想です。)

鍋で炊き込んだあじごはんを木しゃもでかき混ぜるあーちゃんの手は、華奢な体格とちぐはぐにゴツゴツして逞しく、指は乾燥して少しだけ赤切れていた。


ありがとう、ご馳走様。今年もよろしくお願いします。

京都でも’あじごはん’作ってみよう。



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