お出かけ先でふらりとパン屋さんへ立ち寄ることが多いのだが、京都に来てから見かけるようになったお惣菜パンがある。
中にカレー風味に味付けされたソーセージが入って、パン粉をまぶしこんがりと揚げられたニューバード。新しい鳥。
京都ご当地のパンで、市内でも有名なSIZUYAや進々堂などのチェーン店で看板商品の一つとして売られている。家の近所を開拓して見つけた初老のご夫婦が営む地域密着の小さな個人店にも、大きなニューバードが並んでいた。構造は至ってシンプルでカレー味のソーセージパンといったところか。商品名にソーセージもカレーの要素も入っていないので、初めて見た時はカレーパンと間違えて手に取っていた。大抵カレーパンの隣にちょこんと置かれていることが多い気がするから無理もない(と思う)。
チキンは全く使われていないのに何故「バード」なんだろう?料理されたchickenじゃなくて動物としてのbird。
答えは意外と単純で、100年程昔、当時の西湖堂印刷会社の社長が新たに始めた事業「西湖堂製パン」が発明した商品で、名前の由来はパン屋をチェーン展開する時に店名につけていた「バード」が使われたのだそう。バードのお店の新しい商品、ということでニューバード。既にバードチェーン店は閉業していて本家を味わうことはできないが、100年の時間をかけて京都の地に根付いていき、現在、様々な個性的パン屋さん店内の一角で存在感を発揮している。
以前は特に意識していなかったが、最近はどんなパンなのかイメージしやすくするためにポップを書いているところが多い。ニューバードとして成立するには「ご当地・カレー味・ソーセージ」。何処のお店もこの3点が可愛らしく示されている。
ちなみにバードチェーン店はかつて全国に展開していたようで、当然ニューバードも売られていたはずだが、お隣の大阪や滋賀出身の知人・友人に聞いても知らない人が大半だった。
全国の至る所にこうした地域限定で知られるパン商品はまだまだあるかもしれない。例えば実家周辺の地域ではどんなパンがあっただろう。
また新たに見つけたパン屋さんの甘口カレー風味の小ぶりなニューバードを齧りながら、少し「ご当地」に思いを馳せてみた。
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