「絵のサイズってどうやって決めてるんですか?」
去年の初夏、あまり会話したことのなかった後輩と初めて制作についてがっつり話をしていたとき、こんな話題になったのを思い出した。
「モチーフは一貫してるのにキャンバス木枠は手作りして、作品ごとにスケールや縦横比も変わってるから、ずっと気になってたんですよね。」
彼女の制作へのアプローチは、表現したいもの・ことがあり、エスキースや構想を練ってふさわしい作品の規模を決めていく……ようだ。
「うーん、まず展示する空間を把握して、ここにこれくらいの作品を飾りたいなーってところから始めて、キャンバスも張り終えてから絵の構図を決めてるかな。枠があって絵ができていく感じ?」
「へえ〜私と真逆ですね、面白い!」
制作スタイルにも個性が出ますよね——。
その後もいろんな話で盛り上がったが、時間が経っても一番印象に残っているのはやはり‘枠の話’だ。
あの時彼女に話した内容は、そのまま自分自身に語りかけるものだった。
……確かにいつも‘枠’を作ってから絵画世界を考えていたな。
ぽろぽろと溢れてくる言葉を真剣に聞いてくれた彼女とともに、私もしっかり耳をそばだて一語一句自分の中へ取り込んでいった。
誰かに尋ねられ、初めて無意識の答えを意識する。客観視することは、やはり1人では難しい。
絵具やオイル・筆・ペインティングナイフといった描画材以外の視点から見つけた私の個性は、ただいま一層強い意識のもと絶賛模索中だ。
今度の個展のテーマは「枠」。
どんな枠を作ろう?どんな枠で遊ぼうか?この枠にはどんな空間を嵌め込もうかな?
わくわく、ワクワク、枠、枠……。
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