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執筆者の写真ユウキ サクタ

『再会』

あの子だ!

秋分の日が過ぎてだんだん早くなってくる夕刻、灰色の曇り空が広がっていたある日、懐かしいあの子らしき影法師を見かけた。

境谷小学校のアトリエと大学院のアトリエは徒歩圏内で、アトリエメンバーは私以外、現役学生だったり大学に勤務していたりする。(先日のエッセイの後さらに利用者が増えた。もっともっと賑やかになりそうだ。)

まさか君もここまでがテリトリーだったとはねえ。

ゴシゴシと顔を肉球で擦り、空を見上げ、また擦り……を繰り返している。もうすぐ雨が降るのかな?

実に半年ぶりの再会。君も元気そうで良かった。

大学のキャンパスは未だ関係者以外、立ち入り禁止。学生でさえも自由に使えない状況が続いていると聞く。卒業生や修了生は証書を受け取った時点で部外者になっていて、その乾いた関係が寂しくもあり、逆に束ねられることもないと思うと開放感を感じたりもする。

人が決めたルール、そんなものを軽々と飛び越えちゃって、自由に行ったり来たりして季節を謳歌していたのかな。さすがに君らを規制することは難しいものね。

人の1年と猫の1年は一生に占める割合も違う。彼が見ている世界はどんな景色なのだろうか。

人間は大変だにゃー、でも我だって大変だにゃー。

ふと私の気配を感づいたのか、身繕いを済ませた後そそくさと駆けてしまった。

残念。もうちょっとお話したかったのに……。

夏目漱石の「吾輩は猫である」を読みたくなった。

去年の今頃はどうだったかな?自分の足跡を振り返ると、あっという間に過ぎた日常の中に数えきれない出来事があったことを思い出す。無機質な流れ作業のように味気なく繰り返す日々は一つとしてなかった。

去年は去年の出会い、今年は今年の出会い、来年は来年の出会い。

2020年もあと3ヶ月。




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